ビックが名古屋・秋葉原でガチ勝負する理由 自社競合も辞さない覚悟で積極出店を進める

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トレードマークとして定着したヨドバシAkiba。秋葉原はやはり激戦区だ(撮影:尾形文繁)

ソフマップ秋葉原本館をビックに鞍替え

さらに厳しいのは激戦区・秋葉原への出店だ。ビックが2010年に子会社化したデジタル家電専門店・ソフマップの秋葉原本館を衣替えする。ソフマップはここ数年PCなどの販売が低調で経営状態が悪化している。

2016年8月期は2億円の赤字で、2016年9月~2017年2月期も3億円の赤字だった。訪日客などが多い秋葉原では採算の悪いソフマップにしておくより、ビック業態にしたほうが販売効率が上がる、という狙いのようだ。

しかし、秋葉原にはすでにヨドバシやヤマダ、エディオン、免税に強いラオックスも軒を連ねている。特に非家電分野も強いヨドバシは、2005年から旗艦店のヨドバシAkibaを構えており、牙城を崩すのは容易ではない。

売上高1兆円に向けたビックの出店攻勢には課題が山積している。だが、人口減少などで市場が縮小する中、先を見据えた一手を打たなければ淘汰されてしまうのも事実だ。

2016年9月~2017年2月期の決算は、売上高が前年同期比2.3%減の3855億円、営業利益が同20.2%減の93.5億円と厳しいものだった。中期経営計画を掲げてから1年、あえて激戦区に乗り込み出店を重ねるビックは結果を出せるのか。これからが腕の見せどころだ。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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