ビックが名古屋・秋葉原でガチ勝負する理由

自社競合も辞さない覚悟で積極出店を進める

実はこの場所、当初は競合のヨドバシカメラが入る予定だった。ヨドバシは東京、大阪、福岡、札幌に店を構えるが、5大都市の中で名古屋は唯一の空白地帯で、出店を急いでいた。

JR東海(東海旅客鉄道)によるとJRゲートタワーは2012年5月の計画では2016年春に開業する予定だったが、その後2017年春へ変更になるなど、開業が遅れていた。ヨドバシは遅延とその対応に不満を抱き、契約を解除したのだった。

名古屋JRゲートタワー店には広々としたリフォームのコーナーもある(写真:ビックカメラ)

ビックはヨドバシの撤退後に手を挙げ、入店することが2015年7月に発表された。だが、ビックはすでにJR名古屋駅西側に名古屋駅西店を構えている。JRゲートタワーからは直線距離にして約400メートルと目と鼻の先にあり、新しい大型店を構える必要はなかったといえる。

一般的に既存店の近くに出店すると、客は新店に移り、既存店の売り上げは減少する。東京・新宿などで例外はあるが、大型店を近くに出すケースはこれまであまりなかった。

ヤマダ退店の間隙を突くビック

競合の家電量販店幹部も「名古屋に2店舗はキツいのでは」と疑問を口にしていた。宮嶋社長も開店前の2016年10月の決算説明会時に、「名古屋にはすでに店があり両立が課題だ。既存店は多少の売り上げ減少はあるだろう」と明かしていた。

それでも出店を決めたのは、勝算があったからだ。名古屋駅前にはビックのほかにヤマダ電機が店を構える。だが、ヤマダが入るビルはリニア中央新幹線の開通に向けて大規模な再開発が予定されており、退店が確実視されていた。

実際、名古屋鉄道は3月29日に名古屋駅前の再開発計画を発表。ヤマダの入る建物を含む6棟を取り壊し、超高層ビル1棟に建て替えるとした。2022年度に着手する。つまり、再開発工事が始まった後に新旧の2店舗で名古屋駅前を自社の独壇場にするのがビックの狙いだ。とはいえ2店体制は異例。思惑どおりに売り上げを拡大できるだろうか。

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