おおた:従業員側にも「頑張る」以外の意識改革が必要です。日本の社会では、出勤日や休みは会社が設定するものとして認識されています。特に正社員は自分で休みを取ろうとしていない。日本の祝日の数は多いと聞きますが、それは西洋諸国のようにバカンスを自分で取らないから、国が休みを設定してあげないと休まない。今、プレミアムフライデーのようなことをしていますけど……。自分の人生をすべて会社に明け渡していて、そこに安心感があることも問題なんじゃないか。
正社員の約16%が年次有給休暇を1日も取得していない。週労働時間が 60 時間以上の労働者では 27.7%が年次有給休暇を1日も取得していない。
赤木:過激なことを言うようですが、僕は労働時間の制限はしなくていいと思います。365日、24時間働き放題にして、自分で休みを取らないと死んじゃうよ、としたほうがいいんじゃないかな。
おおた:死者出ますけどね。
赤木:今はあまりに休みを取ることを意識しなすぎる。自分がどういうふうに働きたいか。ちゃんと子どものPTA活動のために仕事を休めるような、会社と交渉できる大人であってほしいと思っています。
おおた:長時間労働問題って本来は業務過多問題であるはずなんですよね。一人ひとりの労働をどう減らすのか、仕事は資源なので、どうやってうまく配分するのかを考えたほうがいい。
赤木:仕事は貴重な資源ですから、残業の時間分を正社員の人から取り上げて非正規に回せば、非正規の人は仕事につけますよね。
常見:残業する人ありきで社会が設計されていますよね。赤木さんがおっしゃるように仕事を分かち合う発想はヒントになるかもしれません。
働き方改革にはびこる「老害の論理」
中川:幸福の科学に出家した清水富美加さんの月給が5万円だという話が出たときに、芸能界の「老害」たちが「私は3万円だった」「そんなの当たり前だ」と言い出しました。これって、成功した人たちが途端に若者をいじめ出す構図ですよね。その背景には金持ちになれる可能性があるんだから、今の苦しさに甘んじろという「老害論」があると思うんですよ。働き方改革にも同様の老害論がはびこっていると思います。
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