ネット現金出品は「マストドン」でヤバくなる メルカリやヤフオクは締め出しが容易だが…

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その点でメルカリが指摘されるまで現金出品を放置していた点は問題だ。数多くの出品内容をチェックしきれなかった可能性もあるが、サービス運営を行うプラットフォーマーとしては危機管理意識が薄弱だったと言わざるをえない。出品物の妥当性評価は、プラットフォーマーとしての責務だからだ。

「現金をオークションで販売する」ことは違法ではない。しかし、違法か否かではなく、それが適切であるかどうかを自主的に判断すべきだった。その点でメルカリには反省が必要だろう。

電子マネーカードの出品にも厳しい目

メルカリに限らず、クラウド上にサービスを展開している企業ならば、その事業方針によって掲載するコンテンツのチェックを強化することができる。実際、この問題が発覚してからは、メルカリもヤフオクも現金の取引を監視・削除しており、SuicaやPASMOといったチャージ可能な電子マネーカードのオークション出品にも目を光らせるようになった。

Suicaの出品にも監視の目が(写真:CAN CAN/PIXTA)

オークションサイト以外でもプラットフォーマーの役割とは、提供するサービスの品質保証だ。会員が投稿・掲載する情報であったとしても、プラットフォーマーは一定の社会的責任を負う。

そのためフェイスブックなどのプラットフォーマーは監視の強化を進めている。将来はテキストや画像を評価する人工知能(AI)などを用い、掲載適性を自動判断したうえで一部のコンテンツをせき止める事業者が増えるのではないだろうか。最終的な掲載・公開判断を掲載者に一任することで、プラットフォーマー側の責任を回避するのが目的だ。小規模なサービスプロバイダー向けに、投稿内容の適性評価サービスを提供する事業者も登場することだろう。

が、今後は責任を問うべき事業者を特定できなくなるかもしれない。移ろいゆく裏社会の取引手法が行き付く先が「マストドン」(参照:新SNS「マストドン」が急伸している根本理由)のような分散型ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)ならば、今よりもやっかいなことになる。分散型SNSでは、違法性のある取引、あるいは違法ではないとしても社会的に好ましくない取引を誘引する行為を制限する効果的な手法がないからだ。

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