「社会に適合できない」18歳が風俗を選ぶ必然 生涯の職業とすることは難しいが…
デリヘルで働くことを打ち明けたとき、母は…
マキホさんは、18歳の誕生日にデリヘル店の面接を受けると決めていた。高校を1年で中退し、いろいろなアルバイトをしてきた。頑張ったけど、どれも合わなかった。親しい友人が「デリヘルなら、マキホにもできるよ」と教えてくれた。彼女も同じく高校を中退していて、ひと足先に18歳を迎え、すでにデリヘル嬢として働き始めていた。
お店もすでに決めていた。地元の広島県内だけでなく、全国にチェーン店があるお店。しかも社長は女性だという。でもその前に、母親にこのことを話しておかなければいけない。ウソが下手なマキホさんは、隠し通すのは無理だと知っていた。
17歳として過ごす最後の夜、「実はね、ママ」と打ち明けた。母親は黙って聞いていた。怒っているのか驚いているのか、さっぱりつかめなかった。でも最後に「このお店に決めた」と話したとき、母親は笑った。なんで? 理由がわからずにぽかんとしていると、笑いすぎて目尻にたまった涙をぬぐいながら母親は言った――「ママはね、その姉妹店の店長として働いとるんよ。その前は、デリヘル嬢もやっとったし」。
デリヘルチェーン「カサブランカ・グループ」は、広島市を拠点に全国で34店舗を展開している。創業当初は代表の長谷川華さんが自身で街に出て女性をスカウトし、客からの電話をすべて受けていた。女性である長谷川さんが在籍する女の子一人ひとりに目配りをするアットホームな店の雰囲気は現在も引き継がれ、ゆえにデリヘル嬢を引退した後もスタッフとして残るケースが少なくない。今年36歳になるマキホさんの母親も、そんなひとりだった。
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