安倍内閣に居並ぶ「更迭予備軍」も酷すぎる 1強政権に、こうもダメ大臣が増えたワケ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

首相は26日午前、官邸で今村氏が提出した辞表を受理したあと国民に向けて「心からお詫びする」と謝罪し、後任に福島県選出で人格円満とされる吉野正芳・衆院東日本震災復興特別委員長(68)=福島5区=を起用することでとりあえず事態収拾を図った。現内閣での閣僚辞任は初めてだが、4年半前の第2次安倍政権発足以降でみれば昨年1月の甘利明・前経済再生相(67)以来5人目で、終盤国会を控えて政権への打撃となることは避けられない。

今村氏は東大法学部卒で国鉄(現JR九州)職員を経て1996年の衆院佐賀2区での初当選し、2014年衆院選で7回目の当選を果たしたベテラン議員。ただ、政治資金問題などから初入閣が遅れていた。ほぼ同年齢の閣僚で4月16日の講演で、文化財の振興をめぐり「一番のがんは学芸員」など発言して、翌日に発言の撤回と謝罪に追い込まれた山本幸三地方創生相(68)も当選7回の初入閣組だ。

「滞貨一掃・派閥順送り」がもたらした弊害

首相は2006年秋に誕生した第1次安倍内閣の組閣では、党内外から「お友達人事」との批判を浴びた。その後、同内閣でスキャンダルや失言での閣僚辞任劇が相次いだことで求心力を失い、2007年夏の参院選惨敗後に自身が体調を崩し、9月12日に退陣表明に追い込まれた。

その後5年間の雌伏の期間、大学ノートに「政権運営の反省点」を書き連ねた首相は、2012年暮れの再登板後は、派閥の領袖ら党内実力者に将来有望な若手や女性を巧みに組み合わせる「したたかな安倍流人事」で求心力を維持、強化してきた。

ただ、政権再登板で発足させた第2次安倍内閣は同一閣僚としては戦後最長記録となる約1年9カ月の間、閣僚交代がなく、その後も続く「固定人事」と「女性優先」に、党内からは「いつ大臣になれるかわからない」(ベテラン議員)との不満の声があふれ、「初入閣待望組が50人を超える」(自民幹部)という過去に例のない事態を招いた。

このため首相も、その後の組閣や改造人事では副総理、外相、官房長官など「骨格人事」は維持しつつも、「党内の不満解消」のため一定数の派閥推薦議員を入閣させることを余儀なくされてきた。その結果、これまで"身体検査"(事前調査)などで振り落とされてきたような古参議員の入閣も増えたとされる。今村氏の辞任劇はこうした「滞貨一掃・派閥順送り人事」の弊害が表面化したともいえる。

次ページ更迭予備軍とされる閣僚たち
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事