これは、以前私が訪問したある家庭で見た実践例です。その家庭では、次のような写真を張ってありました。
縄跳びを一生懸命練習している。玄関の掃除を頑張っている。問題集に真剣に取り組んでいる。レゴブロックに没頭している。すばらしい絵を描き上げた……など。子どもは、その一つひとつについてうれしそうに私に説明してくれました。縄跳びの写真は2年前のものでしたが、練習のかいあって二重跳びが初めてできたときのうれしい気持ちを、ものすごい勢いで話してくれました。
輝いている瞬間とは、好きなことに夢中になっている瞬間かもしれませんし、努力の過程や達成の瞬間かもしれません。いずれにしても、どの子にもすばらしく輝いている瞬間はたくさんあるのです。でも、子ども本人はそのすばらしさに気づかないまま、毎日の忙しさの中で記憶が上書きされて、どんどん忘れ去ってしまいます。これは、とてももったいないことです。
写真を見ることで、自分のすばらしい姿、頑張っているかっこいい姿を客観的に見ることができます。「わたしってけっこういいじゃん。頑張ってるじゃん」と思えるようになるのです。そして、その写真が目につく所に張ってあれば、それを日常的に見ることができ、そのリトルサクセスを何度も思い出して、反すうすることができます。写真を見るたびに「自分はできる。頑張れる」という思いを強くしていけるのです。
どんな瞬間を切り取るのが効果的?
では、具体的にはどのような写真が考えられるでしょうか。習い事やスポーツなら次のような写真です。ピアノの練習を頑張っている。けん玉の技の習得に熱中している。バレエの発表会で踊っている。サッカーの試合で、水泳大会で、優勝してトロフィーを持ってにっこり。習字ですばらしい作品が書けて、作品と一緒にパチリ。
お手伝いなら、玄関の掃除を頑張っている姿やお風呂洗いをしながらにっこりピースしている姿です。写真の近くに、「○○君のおかげで、毎日気持ちよくお風呂に入れるよ。ありがとう」「玄関がきれいだと気持ちがいいね」などのコメントをつけてあげると、さらに喜ぶと思います。写真を見るたびに、「自分はお手伝いを頑張っている」「みんなに役立つ仕事をするのは楽しい」という思いを強くすることでしょう。
勉強なら、問題集に真剣に取り組んでいるとか書き取りを頑張っているなどの姿です。勉強に集中している横顔のアップもいいですね。勉強に真剣に取り組む自分の知的な横顔を見ているうちに、「勉強している自分、かっこいいかも」「自分は集中して勉強できるんだ」と思えるようになるでしょう。
問題集を1冊やり遂げたときは、それを持ってガッツポーズしながら撮ります。あるいは、学年の変わり目には、問題集、通信教材、プリント類、書き取りノート、日記帳など、1年間で勉強したものを全部集めて一緒に撮ります。「自分はこんなに勉強した。けっこう頑張ってるな」という気持ちが育ってくると思います。
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