その時、悠然とロンドンで居を構えていた米国系の投資銀行はやはりさすがと言うべきで、ワタクシがそれまで働いていたモルガン・スタンレーなどは、キャナルシティーというトンデモナイへんぴなところの再開発にカネを出したうえにオフィスを構え、大挙して英国に帰ってくる欧州系金融機関からえらいカネをまきあげていました。
「金融の生態系」は一朝一夕ではマネできない
金融のインフラストラクチャーはそれこそ生態系のように複雑に組みあがっており、一朝一夕にマネのできるものではなかったのです。それを米国の投資銀行の連中はよくわかっていたからこそ、彼らはロンドンから離れませんでした。
金融の生態系という言葉は聞きなれないかもしれませんが、これは経済活動において大変重要なものなのです。
例えばシアトルやシリコンバレーは、それこそ1年に何百というベンチャー企業が生まれて多くの企業が大成功していきますが、その成功は、まさに金融の生態系があるからこそ、なのです。日本にはそういう生態系が育っていないので、なかなかベンチャーが育たず、立ち枯れた優秀なベンチャー企業が二束三文でアメリカ企業に買われていく、と言う「悲しい」現実があるわけです。
具体的に言えば、ほぼすべてのベンチャー企業は立ち上げた当初、カネがないわけです。これらの都市には現金を取らずに、その会社の株式を取得することでサービスを提供してくれる弁護士、会計士、インベストメントバンカーなどがいるために、彼らの力を使ってどんどん成長していくことができます。
余計なキャッシュアウトがない分、立ち上がったばかりの企業としては助かりますし、逆にそういう連中が「この会社の株なら持ってもいいな」、と考えることにより、ある種の選別がなされるわけです。
それを専門にやっている連中がたくさんいるので、これらの都市では新しい企業が立ち上がりやすく、全米からそういう連中がどんどん集まってくる。それこそが金融の生態系であって、日本には今のところまったくないものと言えるでしょう(どうしてこれをやろうとしないのか不思議でなりませんけどね。地域再生などは、これ一発で決まると思うんですが、なかなかわかってもらえません。ちなみに弊社グッチーポストはそういうことをどんどんやっております。われこそはと思う方は是非こちらへご連絡を!)
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