イオン「数値目標なき改革」で問われる本気度 総合スーパーに加え、グループ再編も焦点に

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縮小

課題は規模のメリットと個店対応とのバランスをどうとるかだ。これまでイオンは店舗を全国一律にすることで、調達メリットを出し、価格優位性を発揮してきた。だが、葛西店のような個店対応を進めれば進めるほど、規模のメリットの発揮は難しくなる。二兎を追う戦略なのだ。

今後は2015年1月に完全子会社化したダイエーと重複する事業の整理や、加工センターなどの共通するインフラの相互活用を進め採算改善を図る。

GMS事業を担当する岡崎双一執行役も、改革の難しさを感じているようだ。会見で「小売業界の平均的な営業利益率(1〜2%)に持っていくことがファーストステップ」と述べるにとどまった。

グループ事業を「統廃合」

新しい中計のもう一つの目玉はグループ事業の再編だ。M&Aや社内起業に積極的なイオンは、2017年2月末時点で296もの連結子会社を持つ。事業内容はドラッグストアやゲームセンター、婚活サービスなど多岐にわたる。

ただ投資家からは事業縮小や撤退を求める声がつねにあった。グループにはアパレルのコックスや旧ピーコックストアのイオンマーケットなど、赤字に苦しむ企業がある。赤字ではないが、業績の低迷が続くコンビニのミニストップをどうするかも課題だ。

これまでイオンは起業家精神や社会インフラとしての役割を重視し、赤字や不振の事業を簡単に切り捨てない方針を貫いてきた。だが、今回の中計の資料には「統廃合」「整理」といった文言を明確に盛り込んだ。

一方、中計には業績や設備投資の計画などの数値目標がいっさい示されなかった。その点について岡田社長は、「非常に多くの変革をしなければならない。数値目標についての議論には時間がかかっているし、かけるべきだ。しかるべきときに発表したい」と答えた。

グループ事業の再編に揺れるイオン。迅速に計画をまとめ、数値目標とともに明確な道筋を示すべきだ。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(編集者・記者、マーケティング担当)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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