「GINZA SIX」が高級商業施設となったワケ J.フロントが進める2つの「脱百貨店」戦略

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百貨店事業においては、日本基準とIFRSでは売上高の算定方法が大きく異なる。消化仕入れの部分については、日本基準では顧客への販売金額をそのまま全額、売上高に計上していたが、IFRSに変わると、販売金額から仕入れ値を差し引いた販売マージンだけしか売上高に計上できなくなる。つまり売上高が目減りするのだ。

営業利益については、日本基準では特別損益に計上されていた資産売却など特別損益を、IFRSでは「その他の営業損益」として営業損益に組み入れることになる。

JフロントはIFRS移行の狙いについて「適正な資産評価に基づいた効率経営の実践のため」とする。日本基準からIFRSに変えることで、三越伊勢丹ホールディングスや高島屋といった競合との比較が難しくなるものの、脱百貨店の姿勢を鮮明に打ち出す。

「オープンした瞬間から陳腐化が始まる」

館内の吹き抜けには前衛芸術家・草間彌生の巨大なアートが展示されている(記者撮影)

Jフロントはさらに4月10日に発表した中期経営計画で、新たな商業施設の開発や賃貸借面積を拡大することでギンザシックスのような不動産事業を強化する方針を打ち出した。

また百貨店事業の構造改革も進め、衣料売り場を中長期的に現在から30%削減することも明言している。これらの取り組みで「脱百貨店化」を加速する。

祝福ムードの開業セレモニーで、山本社長は「商業施設はオープンをしたその瞬間から陳腐化が始まるという宿命を背負っている。価値観やライフスタイルが刻一刻と変化する中、ベストな答えをこのギンザ シックスで体現し続ける」と気を引き締めた。

百貨店というビジネスモデルの終焉が叫ばれるなか、Jフロントの改革は実るのか。本当の挑戦はこれから始まる。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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