「GINZA SIX」が高級商業施設となったワケ J.フロントが進める2つの「脱百貨店」戦略

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百貨店に集客力があり販売が右肩上がりで伸びているときは問題がなかったが、国内消費が伸び悩み、販売が落ちると、利幅が薄いため百貨店の収益力は急激に悪化した。

新百貨店モデルは、"不動産事業"に重点を置いた選択といえる。ギンザ シックスではショッピングモールと同じように、入店しているテナントと定期賃貸借契約を締結する。

各テナントによって細かな条件は異なるものの、ギンザシックスは固定家賃に加えて、売り上げに応じた歩合の賃料を受け取る。自らが各売り場を運営せず、場所貸しのテナント業に徹するため、採算がよい。

そのため、初年度売上目標は600億円、初年度の営業利益は16億円、2年目以降は30億円以上を見込むなど、百貨店事業に比べて安定した収益を最初から稼ぎ出す計画だ。

過去の成功モデルの象徴で、銀座最古の百貨店だった松坂屋銀座店の敷地に"ラグジュアリーショッピングモール"であるギンザ シックスを開業するのはまさに"脱百貨店"の象徴的な事例だ。

IFRS移行の真意

J.フロント リテイリングの山本良一社長「最高に満たされた暮らしを実現出来る店」がコンセプトと話した(記者撮影)

Jフロントが進める脱百貨店はもう1つある。今2018年2月期決算から国際会計基準(IFRS)に移行することだ。

同社は4月10日に2017年2月期決算(日本基準)を発表。売上高1兆1085億円(前期比4.7%減)、営業利益445億円(同7.2%減)の減収減益だった。

百貨店事業で売り上げ構成比の4割を占める衣料品の販売不振が続き、大丸東京店以外がすべて前年割れとなったことや、大丸心斎橋店本館建て替え工事に伴う売り場面積の減少や訪日外国人観光客の購買単価の低下も影響したためだ。

IFRS基準の今2018年2月期の見通しでは、売上高に該当する売上収益は4690億円(IFRSで概算した2017年2月期比で3.5%増)、営業利益は445億円(同6.6%増)となる。

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