「ヒモ」と呼ばれた男が極める専業主夫の道 桜沢エリカの人気漫画は彼の支えあってこそ

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長野県で生まれた武紀さんは、1988年、20歳の時に上京。時はバブルの真っ只中。大好きだった音楽業界に憧れ、DJとして夢を追いかけていたある日、自分が働くお店にやってきたのが、エリカさんだった。

武紀さんはDJとして音楽業界で夢を追いかけていた

当時すでに多数の連載を抱え、テレビ番組のMCまで担当するほどの有名人。武紀さんが4歳年上であるエリカさんに猛アタックし、交際がスタートした。

そんな2人に転機が訪れたのは、交際から5年たった1999年のこと。エリカさんが妊娠。憧れの東京で有名人とつきあって、子どもまでできた。次々と夢が叶い、有頂天になる武紀さん。ところがその時、エリカさんから思いもよらぬ言葉が告げられる。

同窓会で告げられた一言

「あなた…仕事やめて、家に入ってくんない? 冷静に考えて、私のほうが稼ぎがあるし、そのほうがお互い効率的だと思うの」(エリカさん)

武紀さんは当時を振り返る。

「そんなこと、考えたことも無かったですよね。男は、働いて稼いで、家族を養うっていう教育を受けてきたので」(武紀さん)

夫が家庭に入り、妻の稼ぎで暮らすことを、すぐには飲み込めなかった武紀さん。しかし、多数の連載を抱えるエリカさんのため、そして生まれてくる子どものため、仕事を辞め、専業主夫になることを決意。こうして2人は、1999年に結婚した。

結婚17年、家事と育児は夫が万全にこなしている

するとそんな武紀さんに追い打ちをかける出来事が起こる。ある日、高校の同窓会に出席した時の事。「お前、有名な漫画家と結婚したらしいじゃん」と、興味本位で聞いてくる同窓生たちに、自分が専業主夫であると伝えると

「それってヒモじゃん。働かなくていいなんて夢のようだな。俺もヒモになりたい!」(同級生)

なんと、「専業主夫はヒモだ」とバカにされてしまったのだ。

「すごいねって言ってくれるのは女性。男性は『お前はいいよな、ヒモで』って普通に言うんですよ。じゃあ、やってみな。やれないだろって…」(武紀さん)

武紀さんは、その日以来、同窓会へ行くことをやめ、あることを決意した。

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