「ヒモ」と呼ばれた男が極める専業主夫の道 桜沢エリカの人気漫画は彼の支えあってこそ
朝6時半、料理が終わったら、今度は掃除ラッシュ。前日も遅くまで仕事だった妻を気遣い、音がうるさい掃除機は後回しにして、床の拭き掃除。そんな夫の様子を追いかけてみると、時折、不意にポケットから何かを出す姿が見られる。
それは細かく切ったタオル。なんと、気になったところをすぐに掃除できるように、いらなくなったタオルを細かく切って常にポケットに持ち歩くのだという。掃除も手を抜かないのが、武紀さん流なのだ。
世の妻たちもビックリ!? 心配りは女性以上!
朝7時。2人の子どもを起こすのも、武紀さんの日課。まずは娘の朝ごはんだ。娘はこう話す。
「(朝母親がいないことに)慣れちゃったから、逆にお友達の家に行くとお母さんが家事をしているほうがおかしいと感じちゃう」
娘が食事をしている間に、学校でもらってきたプリントをチェック。さらに、娘が体を冷やさぬよう、持たせる水筒には水でなく白湯を入れる心配り。続いて起きてきたのは、息子。出かける前に、制服のブラッシングまでする。
朝9時。こうして子どもたちを送り出した後、休む間もなく、次は妻・エリカさんを起こすのも毎朝の武紀さんの大事な仕事だ。ところが、この日はちょっと様子が違った。
「どうしようかな……9時半にしとこうかな。なんか昨日エリカ…、寝るのが遅かったみたいなんですよね」(武紀さん)
数多くの連載を抱えるエリカさんは、仕事が深夜まで及ぶこともしばしば。そのため夫は遅くまで働いていた妻を気遣い、起こす時間を調整。30分後、頃合いを見てようやく起こしに行く。
ちょっぴり遅めのお目覚めとなった妻と、ようやく夫婦2人の朝ごはん。夫が朝5時半から起き丹精込めて作った食事に、妻の反応は
「どう?」(武紀さん)
「・・・・」(エリカさん)
「どう??」(武紀さん)
「おいしいよ」(エリカさん)
なんともあっさりした妻の感想だが、夫はまったく気にしていない様子。売れっ子漫画家の妻のため、結婚から17年、家庭を守ってきた武紀さん。そもそも、武紀さんはなぜ、世に言う“専業主夫”になったのだろうか。
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