2018年卒・前半の就職人気ランキングで1位に輝いたのは、全日本空輸(ANA)。ここ5年間、メガバンクの1位が続いていたが、今年は異なる結果となった。ANAが同調査で1位になるのは、2009年卒生以来で、9年ぶり2度目となる。
特に女子学生に人気で、女子ランキングでは断トツの1位となっている。キャビンアテンダントを正社員として採用しているだけでなく、総合職に相当するグローバルスタッフ職に女性の採用が増えていることも、要因としてはあるだろう。高い評価を受けている教育・研修制度も評価につながったといえる。
もうひとつの理由は、ここ数年、旅行関連業界が就活生に人気、というのが挙げられる。グローバルなイメージがあること、2020年の東京五輪開催、インバウンド(訪日外国人)拡大で、成長性が高いと見ているのだろう。JTBグループが7位、日本航空(JAL)が10位というように、トップ10に旅行業界系は3社ランクインしている。その中でANAが頭ひとつ抜けた格好だ。子会社のANAエアポートサービスも16位と、上位に名を連ねており、グループ全体の人気も高いといえるだろう。
メガバンクや証券・生保も人気根強い
1位を奪われたとはいえ、メガバンクに対する人気は引き続き高い。2位は昨年と同様、三菱東京UFJ銀行がランクイン、3位には昨年トップだったみずほフィナンシャルグループが入った。
両メガバンクが1位を取れなかった理由を、あえて分析するならば、採用人数にあるだろう、三菱東京UFJ銀行やみずほフィナンシャルグループは、今年も1000人以上の採用が予想されるが、採用数は年々抑制傾向にある。そうした傾向がランキングに微妙に影響している可能性がある。昨年9位だった三井住友銀行は19位にランクを落とした。
しかしながら金融人気はなお根強い。4位野村證券、5位日本生命保険、6位大和証券グループ、8位損保ジャパン日本興亜と、トップ10には人気の常連となっている金融系が名を連ねる。トップ10のうち6社が金融だ。
9位には明治グループ(明治・Meiji Seikaファルマ)が入った。18位ロッテグループ、25位味の素、29位森永製菓なども含め、食品メーカーの人気も高い。
昨年、過労死問題で揺れた電通は41位と、6つランクを落とした。ただ、広告代理店の人気は堅調で、11位にジェイアール東日本企画、14位に博報堂/博報堂DYメディアパートナーズがランクイン。なかでもジェイアール東日本企画は、映画『君の名は。』の製作委員会に参加するなど、映画関連にも力を入れている。JR東日本傘下の広告代理店というイメージから、有力な広告代理店のひとつとして認知されてきており、それがランクアップにつながったといえる。
資源安による業績悪化の影響を受け、昨年、ランキングの順位を下げた大手総合商社は、今年も多くが順位を下げる結果に。長時間残業を避けるなど、働き方に対する意識が高まる中、仕事がハードというイメージが先行する総合商社は今、逆風を受けているのかもしれない。
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