セブン・マック…、これが「FC店増減」の全貌だ 消費の栄枯盛衰は主要チェーンの動向が映す

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最後に外食業界。直近2年でもっとも店舗数を増やしたのは珈琲所コメダ珈琲店。名古屋近郊発祥で、店員がおしぼりや商品を運ぶフルサービス型のカフェチェーンだ。近年は関東、関西で出店を加速させており、2020年までに国内外で1000店舗までの拡大を目標に掲げる。「外食の中でも喫茶店は、男性を中心に定年後のシニア層の居場所となっており、成長期待が高い。コメダはその代表格」(別のFCコンサル)と言われる。

注目されるCoCo壱番屋の独立制度

同じく名古屋発祥のカレーハウスCoCo壱番屋も勢いが続く。CoCo壱番屋のFCの特徴は、「ブルームシステム」と呼ぶ正社員からの独立支援制度を設けていること。オーナー希望者はまず正社員として入社し、店舗で経営ノウハウを学んでから独立へと進む。廃業率が高い飲食業界において、CoCo壱番屋の直近10年間のオーナーの継続率は約9割と高水準を維持。FCにとっていかに意欲ある個人のオーナーを集めるかは生命線であり、CoCo壱番屋の独立支援制度は業界内でも注目を集めている。

一方、外食の下位を見渡すと、ピザ・カリフォルニア、ピザーラ、ストロベリーコーンズ&ナポリの窯といったピザチェーンが目立つ。いずれも運営会社は未上場で会社業績は非開示だが、FCの情報開示書によると、ピザ・カリフォルニアの全店(直営とFCの合計)売上高は2014年度36億円から2015年度34億円へと減収。同じくピザーラの同売上高も2015年11月期383億円から16年11月期370億円へと下がっている。

ストロベリーコーンズ&ナポリの窯は、FCの売り上げの落ち込みを直営店舗が支え、2016年3月期は前期比横ばいの72億円となっているが、ピザチェーン3社には需要喚起の次の手が求められていると言えそうだ。

外食だけでなく、店舗数の減少幅が全業種を通じてもっとも多かったのが、マクドナルド。2013年度から2015年度にかけ、FC店舗数を149店減らした。

もともと原田泳幸前社長時代まで直営店のほうがFC店より多かったが、資産のスリム化を図る「原田改革」により、直営店からFC店への転換を推進。FC比率が急速に高まった経緯がある。その後に期限切れ鶏肉問題や異物混入問題が重なり、業績が悪化。直営、FCともに店舗数を減らし、母数が多いだけに減少幅では断トツの規模となった。

内実をつぶさに見ると消費者ニーズの激しい栄枯盛衰が浮かび上がる。多くの人にとって身近なFCチェーンの増減はその写し絵といえる。

許斐 健太 『会社四季報 業界地図』 編集長

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このみ けんた / Kenta Konomi

慶応義塾大学卒業後、PHP研究所を経て東洋経済新報社に入社。電機業界担当記者や『業界地図』編集長を経て、『週刊東洋経済』副編集長として『「食える子」を育てる』『ライフ・シフト実践編』などを担当。2021年秋リリースの「業界地図デジタル」プロジェクトマネジャー、2022年秋より「業界地図」編集長を兼務。

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