「産後クライシス」をこじらせる夫の共通点 危機を糧にする!夫婦のリスクマネジメント

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産後クライシスという現象は、夫の無神経というような局所的な不都合から生じるものではなく、実はもっと複合的な問題であるといえるのです。「気づかない夫が悪い」というようなレベルの話に矮小化すれば、ますます家族の機能不全が悪化します。

産後クライシスがあることはある意味で健全

産後クライシスに苦しむ父親たちからの相談を受けた経験から私に言えることは、実は、妻のことを大切に思っているにもかかわらず産後クライシスをこじらせてしまう父親に共通しているのは、妻を「母親」としか見られなくなっていることです。

「育児や家事を、やってもやっても認めてもらえない」と嘆く夫は、「母親としての妻を、父親としてサポートする」という意識になってしまっていることが多いのです。父親としての役割に意識を向けすぎなのです。むしろまじめすぎるのです。

お互いに悪気はなかったにしても、自分を「女」として見てくれていない夫に対し、妻が「男」としての魅力や感謝の念を感じなくなるのは自然ななりゆきです。大切なのは、夫婦が夫婦であることを「当たり前」だと思わず、お互いに、男女として、また1人の人間として、愛し敬い続ける意識を持つことです。それが結婚の基本。基本が崩れていれば愛情を感じなくなるのは当然です。

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出産は、家族システムが揺らぐ大イベントです。しかし、産後クライシスに似たようなクライシスは、実は長い結婚生活の中ではたびたび起こるものです。子どもの反抗期・独立、家族メンバーの病気・ケガ、もっと身近なことでいえば転職や退職なども同様のクライシスをもたらします。

産後クライシスをきちんと乗り越えてこなかった夫婦は、これらのクライシスに際して、毎度うろたえることになるでしょう。産後クライシスを小手先で回避したままにしたりすると、どのみちあとで問題が表面化することになります。

心理学の家族システム理論的に見れば、産後クライシスは、必ずしも夫婦関係が壊れかけていることを意味してはいません。むしろ産後クライシスのような葛藤を感じるのは結婚という仕組みが機能している証拠だとすらいえます。

産後クライシスを悪いこととしてとらえるのではなくて、「2人が最強のチームになるための訓練」だと考えてみたらどうでしょう。会社組織やスポーツのチームビルディングと同じですね。この記事を読んだみなさんには、産後クライシスを恐れるのではなく、成長するための試練として、前向きにとらえてほしいと思います。

おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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