振り込め詐欺は「男のプライド」で深刻化する 犯人は「相談する」恥ずかしさを逆手に取る

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詐欺被害に遭わないための対策としておすすめなのが、どんな詐欺を仕掛けられる可能性があるかをシミュレーションをしてみることです。

警視庁、独立行政法人国民生活センター、各都道府県に設置されている消費生活センターなどのホームページなどに載っている事例を参考に、たとえば、子どもに「オレオレ」といって電話をかけてもらいます。事例どおりのストーリー展開をしてもらい、「なぜそんなに急におカネが必要なの?」とか、「それはいったいどういうこと?」とツッコミを入れてみるのです。相手が答えられずにしどろもどろになったら、電話を切ります。

このときに大事なのは、「はっきりと断る」ことです。わかっていても、日本人は「ノー」と断るのが苦手な人が多いようです。そこで、普段から声に出して断る練習をすることをおすすめします。「けっこうです」「いいです」はイエスの意味に取られてしまいますから、「いりません」「必要ないです」とはっきり断る練習をしておきましょう。

「こんなことで相談なんて」という羞恥心を逆手に取る

詐欺のパターンで多いのは、「トラブルに巻き込まれている」と思わせるか、「儲かる」と思わせるかのどちらか。どちらのケースも最終的にはおカネを奪われるという被害が出るわけですから、まずおカネの話が出たら、1人で決めず、必ず家族に相談するという習慣をつけておくことが大切です。だます側は、あなたの「こんなことで誰かに相談するなんて……」という羞恥心を逆手にとって、ほかの人に相談させないようにします。すぐに1人で決断してしまわないで、時間をおいて誰かに相談すること。これだけでかなりの詐欺は防げます。

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相談をする相手は誰でもかまいません。まずは家族だと思いますが、それが難しければ友人・知人でも良いでしょう。相談できる人が身近にいなければ、警察相談専門電話「#9110」に電話しましょう。自動的にあなたのお住まいの最寄りの警察署につながるようになっています。また、弁護士に相談するのも非常に有効です。各都道府県には法律相談センターが開設されていますので、相談すればトラブルの内容に合った近くの弁護士を紹介してくれます。

強い勧誘や悪徳商法のセールスを受けているときは、そばにいてくれる人がいるだけで大変ありがたいものです。客観的で冷静な視点でだます側のストーリーの欠落を見破ってくれることもあるでしょう。警察や法律の専門家でなくても、そばにいて一緒に解決法を考えてくれる、心の支えになってくれる人がいるだけで、必ずあなたの役に立ってくれます。

西田 公昭 立正大学心理学部教授/博士(社会学)

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西田 公昭 / Kimiaki Nishida

1960年徳島県生まれ。1984年関西大学社会学部卒業、1991年静岡県立大学助手、1994年スタンフォード大学客員研究員、2003年静岡県立大学准教授を経て現職。カルト宗教のマインド・コントロール研究や、詐欺・悪徳商法の心理学研究の第一人者として、新聞やテレビなどのマスメディアでも活躍。オウム真理教事件や統一協会などの多数の裁判で、鑑定人および法廷証人として召喚される。主な著書に『マインド・コントロールとは何か』(紀伊国屋書店)『「信じるこころ」の科学』(サイエンス社)『だましの手口』(PHP研究所)などがある。

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