ディズニーキャストが見た「理想のリーダー」 「感動」を分かち合うチームは結束力が強い

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1時間ほどが過ぎた頃、そのお二人はわざわざ私のところまで戻ってきてくれました。その顔には、満面の笑みが浮かんでいました。「お姉ちゃん、ミッキーに会ってきたよ!」と、女の子が元気に私に言いました。男性からも、何度もお礼を言われました。

そしてまた、自分たちのことについて話してくださいました。その男性は、娘さんと離れて暮らしており、その日が大切な面会日であったこと。だからどうしても、娘の大好きなミッキーに会わせたかったこと――。

自然に褒め合う文化が生まれる

『3日で変わるディズニー流の育て方』(サンクチュアリ出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

その日の研修報告会で、私はリーダーに指名され、このエピソードをほかのキャストに対し報告しました。その際、感極まって泣いてしまったのですが、ほかのキャストもまた同じように共感し、涙を流してくれました。こうして本音を語り、素直に泣くことが許される職場というのは、今思えばとても貴重な場所でした。

このように感動をシェアすることで、個人に起こった卓越した経験を全体で共有することができます。これは心理学的には「代理体験」といい、仕事に対するモチベーションの源泉となる「自己効力感」を育み、ポジティブなチームをつくることにつながります。

あなたの職場では、「お客様に喜ばれたエピソード」を共有しているでしょうか。その際のポイントとなるのは、「鮮度」。本人の記憶が新しく、さらに感情移入して語れるうちに、ほかのスタッフの前で話す機会をつくってほしいと思います。当日または翌日の朝礼など、24時間以内のシェアが理想です。

これらを繰り返すことで、チーム内には自然に褒め合う文化が生まれ、各個人のモチベーションもどんどん上がってくるでしょう。ここで紹介した内容は、ディズニーだけの特別な話ではなく、どんな職場でも応用のきくものばかりです。

櫻井 恵里子 ディズニーの元人材トレーナー/西武文理大学サービス経営学部専任講師

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さくらい えりこ / Eriko Sakurai

10万人以上のキャストを育てた、元ディズニーの人材トレーナー。 東京都立川市出身。
1998年オリエンタルランド入社。2003年から人財開発部門にて人材トレーナーを担当。2009年から外部法人向けに「ディズニーのおもてなしの考え方」を伝えるセミナー事業部門にて、講師、研修開発を担当し大人気を博す。人事戦略から、調査、採用、教育、キャリア開発までを手がけ、これまでに15万人以上の人材育成にかかわる。

現在、西武文理大学サービス経営学部専任講師。人気講座「心理学概論」「キャリア論」「レジャー産業論」などを担当。筑波大学大学院人間総合科学研究科生涯発達専攻博士前期課程修了。修士(カウンセリング)。所属学会:産業・組織心理学会、日本カウンセリング学会、日本学校心理学会、ホスピタリティ学会、日本マーケティング学会正会員。

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