「フォルダ」「フォルダー」正しいのはどっち? 知らないと恥をかく?「ビジネス文書」の常識

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JIS(日本規格協会)は「情報処理」の分野に限ってのみ、国の見解と真っ向から対立するルールを推奨していました。具体的に以下のルール適用をうたっています。

・3音以上からなる用語は長音を省略→コンピュータ、マスタ、ユーザ、データセンタ等

・2音以下からなる用語は長音を記述→コピー、キー、エラー等

内閣告示とJIS規格のそれぞれに準拠した文章を書いてみるとこうなります。

「このデータセンターを利用するユーザー企業は、X社のインターフェースを使う」

「このデータセンタを利用するユーザ企業は、X社のインタフェースを使う」

いずれの書き方も正しいといえます。なんとなく省略型を使っていた人も多いと思いますが、省略型もルールとして明文化されているのです。

一般的には内閣告示に従い、音引きは省略しませんが、工業系・通信IT系分野ではJIS規格に従い、特定条件でカタカナ語句の音引きを省略します。その理由は、初期のコンピューター上で扱えるデータ量が非常に小さく、1文字でも削ってデータ量を減らしたかったためだといわれています。

長き戦いに終止符を打ったマイクロソフト

Windowsで有名なマイクロソフト社は、2008年、これまでJIS規格に沿っていた同社製品上の表記を内閣告示へ切り替えることを発表しました。この結果に他社も追随し、今ではみなさんが使っているPCやスマートフォンなどで「ユーザ」のようなJIS規格表記は非常に少なくなりました。

前述した業界にはJIS規格による書き方がしみ付いている人がたくさんいるため、まだまだ多くの文書で音引きのない表記を見掛けます。しかし、音引きを省かない記述のほうがメジャーである今、そうした書き方は文章上での言葉の揺らぎを生む原因になります。

近年ではJIS規格もこうした事情を勘案し、内閣告示のルールに準拠することも認めるとしています。

もしみなさんがこうした表記で迷われたときには、可読性、検索性を高めるため、一般的なビジネス文書では「カタカナ語句の音引きは省かない」ことをオススメします。

吉澤 準特 外資系コンサルタント

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よしざわ じゅんとく / Juntoku Yoshizawa

外資系コンサルティングファーム勤務。ビジネスからシステムまで幅広くコンサルティングを行う。専門分野はシステム運用改善をはじめとするインフラ領域だが、クライアントとの折衝経験も多く、ファシリテーションやコーチングにも造詣が深い。著書に『資料作成の基本』『フレームワーク使いこなしブック』(以上、日本能率協会マネジメントセンター)『外資系コンサルの仕事を片づける技術』(ダイヤモンド社)などがある。

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