てるみくらぶ「大迷惑な破産」が示唆する教訓 ダメなら適切に廃業するのも経営者の務めだ
てるみくらぶの山田千賀子社長の実際の人間性は知る由もないが、業況が悪化した経営の現場では、責任感が強かったり、人情味に厚かったりする経営者ほど、従業員や取引先への感情の断捨離が行われず、事業撤退や費用削減による根本的な損益改善ではなく、場当たり的な資金つなぎのみに走り、不要に多くの人を巻き込んだ最悪のケースを生んでしまうことがよくある。
今回の山田社長に対する評価も、報道では、責任感があるので支払いなどはしっかりしてくれるという信頼感があったという取引先の話があったが、まさにこのケースの経営者なのかもしれない。
会社を畳むための知識
最後に、会社を畳むための知識を得ておくということである。山田社長は、てるみくらぶの会社存続しか考えずに行動をしていたことが記者会見の内容でもわかるが、自身がビジネスを展開している業界動向が大きく変化し、それに対応できる方向転換ができないまま業績が大幅に降下した時点で、会社存続だけではなく、会社を畳むという選択肢も持ち、その知識を有していれば、ここまで大きく社会に迷惑を掛けることもなかっただろう。
最近は、国が主導する廃業の支援も制度が整ってきており、廃業の際に大きな問題となる金融機関からの借入金の整理や、それにひもづく個人保証の問題なども含めて、会社を畳むということが比較的容易にできるようになってきている。この制度を使っていけば無用な悩みを抱えてジリ貧になることなく、気持ちよく第2の人生を歩めるようにもなっているのである。会社を設立して従業員や取引先をつくっていく責任と同様に、悪循環に陥る前に会社を畳み整理するということも経営者としての最低限の責務だ。
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