「WiiUはゲームをテレビから解放する」 任天堂・岩田聡社長ロングインタビュー(中)
――「ニンテンドーランド」や「ゲーム&ワリオ」というソフトは2画面を使った遊びとはどんなものか、ゲームパッドを使うことでいわゆる“非対称”の遊びがどれだけ面白いかを伝えることができるゲームの作りになっていると思います。しかし、いかんせん単なるミニゲーム集ととらえられて、せっかく新しいゲーム機を買ったのだから大作を遊びたいと思う人が多く、全体に訴求する力も弱いようです。
実は「ピクミン3」も、「ニンテンドーランド」や「ゲーム&ワリオ」に比べると、メッセージ性は強くないかもしれません。逆にいえば「ランド」や「ワリオ」のような遊びを、どれだけたくさんの人に体験してもらうかが勝負かもしれませんね。詳細は言えませんが、われわれもこれからも提案していくことがいくつかあります。これからは「それってしょせんミニゲームでしょ」と片づけられないように、どのようにして多くのお客様に面白いと思える体験をしていただくかが大事なのでしょうね。
「自分のつくったゲームは子どものようなもの」
――唐突ですが、岩田さんが「いちばんお好きなソフトを1本選んでください」と言われたら、何を選ばれますか。
いやまぁ、自分自身でモノを作っていましたのでねぇ(苦笑)、なので自分が作ったものには特別な愛着がありますよ……。「星のカービィ」や「MOTHER2」「スマッシュブラザーズ」などなど、愛着があるんですよ……。だから、ひとつ挙げろっていわれるのは結構、難しいですよね(苦笑)。自分がやったものはある意味、自分の子供をみるような目でみてしまうので、距離感が違うというか……。
そのソフトがどうして生まれて、(開発当時に)何を考えていて、お客様にどの思いが届いて、何がお客様に届かなかったか、開発にどんなドラマがあってと。ほんと毎日、朝焼けの富士山を見ながら作っていましたので(大笑)、そういう時代の思い出とセットになっているので、普通にプレーヤーとして味わうゲームとまた違う感覚になってしまうんですね。
やはり、簡単には申し上げにくいですよね。私自身、モノを作る人間としてドンとはやるものと、そうじゃないものとがあって、なぜその違いが出るのだろうということをずっと考え続けてきました。いろんな商品を遊んでいても、これがどうして多くの人にはやるんだろうとか。
逆に私はこれがすっごく面白いと思うのに、ブレイクし切れなかったのはどうしてだろうと。そんなことばかりを考えているので、普通のお客様と同じようなゲームの楽しみ方になっていないかもしれません。
仕事になってしまっているんですよ。変な話でね、極端な話、ディズニーランドに行ってアトラクションをみていても、作った人の気持ちから考える癖がついていて(笑)、なんかただのお客様になれないんですよね(笑)。映画とかをみていても、この作り手は何を考えていたかな、なんてつい考えてしまう。まぁ私は映像がぜんぜん専門ではないのですけどね(笑)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら