深まる疑惑、「籠池政局」は長期化しかねない 何一つスッキリしないのはなぜなのか

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「私や妻が、ですね。認可あるいは国有地払い下げに、ですね。もちろん事務所も含めて一切関わっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もし関わっていたのであれば、ですね。これはもう私は総理大臣を辞めるということでありますから、はっきりと申しあげたいと。このように思います」

よって籠池氏が主張するように、籠池氏が昭恵夫人に直接陳情し、それに基づいて昭恵夫人がお付きの職員に指示を出したということでは、「昭恵夫人による関与」になってしまうのだ。昭恵夫人は何も動かず、結果の報告だけを受動的に聞いていることにすれば、問題にはならない。そう官邸は踏んでいる。

しかし「関与」とは「関わり合い」を意味する。現実に何かを動かさなくても、関与を認めることができるのだ。実際に昭恵夫人付きの政府職員から籠池氏に対して送られた1枚目のファックスには、次の文がある。

「大変恐縮ながら、国側の事情もあり、現状ではご希望に沿うことはできないようでございますが、引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思います」

諄子夫人による大量の手書きファックス?

この一文には昭恵夫人が瑞穂の國記念小學院の名誉校長だったという背景が伺える。職員は昭恵夫人の立場ゆえに動いたのであり、経済産業省出身のこの職員は当然「上」にお伺いをたてたに違いない。

そもそも昭恵夫人の主張によれば、同小學院の名誉校長職は飛びつくほど嬉しいポストではなかった。ならばこれ以降の籠池氏側の行動で、どうして冷静に危険を察知しなかったのか。

森友学園問題が報道され始めたころ、関係者からこんな話を聞いたことがある。

「昭恵夫人と稲田朋美防衛大臣は籠池諄子夫人を迷惑に思っている。昭恵夫人は『あの人は怖い』と言い、大量の手書きファックスが送られたことのある稲田大臣は、諄子夫人との関係を絶つことを決意した」――。

籠池氏の証人喚問は、多くの事実を明らかにしなかった。ただ、このような人物と関わり合いを持った昭恵夫人の無防備さと、それを庇おうと苦難する官邸の実情が明らかにされた。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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