深まる疑惑、「籠池政局」は長期化しかねない 何一つスッキリしないのはなぜなのか

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さらに昭恵夫人には、菓子折りとともに謝礼を渡したことも主張した。

これについて昭恵夫人は、同日さっそくフェイスブック(FB)で「100万円の寄付を渡したことも講演料ももらったことはない」と金銭の授受を強く否定。さらに随行していた政府職員とも確認したうえで、「秘書に席をはずしてほしいということは言っていない」「講演の控室として利用したのは(籠池氏が主張したような)園長室ではなく、『玉座の間』という内装がとても特徴的な部屋だった」と事実とは異なると反論した。

そして国有地取得に関して、財務省に有利に働きかけてもらおうと「電話で問い合わせ、留守電にメッセージを残した」とする籠池氏の主張について昭恵夫人は、「何度か短いメッセージをもらった記憶はあるが、土地契約について具体的な内容は聞いていない」「秘書に対して書面で問い合わせがあった」と齟齬があることを主張。これについて夫人担当の政府職員から籠池氏に回答するとの報告を受けたが、結果的に「要望に沿うことができなかった」と述べている。

菅氏は「忖度以前のゼロ回答」と静観

官邸は同日、2枚のファックスと1枚の封筒のコピーを公表した。ファックスは昭恵夫人に随行の政府職員から籠池氏に宛てたもので、平成27年(2015年)10月26日付けの淀川郵便局の消印が付いた封筒は籠池氏側から政府職員に送られたもの。いずれも昭恵夫人の言い分に合致する「証拠」である。

「事実関係は籠池氏の国会証言とは異なる」3月23日午後の会見の冒頭、菅義偉官房長官はこう述べた。「文面の内容は一部事実関係の誤りもあるようだが、法令や契約に基づく対応を説明したものであり、いずれにしろ財務省として国有財産に対する問い合わせに一般的な内容であり、籠池氏側から直接問い合わせがあっても、添付の通りに答えると報告を受けている」

「添付の通り」とは、2枚目のファックスに記載された、①通常は国有地の定期借地権は3年だが、今回は内容に考慮して10年にしたもので、これ以上の延長は困難であること、②50年定期借地権は介護施設を運営する社会福祉法人への優遇措置だが、待機老人の社会問題化という現状での特例で、他に拡大できないこと、③土壌汚染の存在期間も賃料は発生することは契約で了承済みで、その費用は買い受けの場合に考慮されること、④工事費建て替え払いについては、平成27年度(2015年度)で予算措置ができなかったので、平成28年度(2016年度)での予算措置を検討していることの4項目を指す。

この対応について、菅長官は以下の言葉を繰り返した。

「忖度以前のゼロ回答だ」「制度的な問い合わせをし、財務省からの回答を報告したに尽きる。誰が問い合わせても同じだ」「財務省が(昭恵夫人の意向だと)誤解する恐れはない。答えを見ればわかる。きっぱり断っている」

菅長官がここまで「昭恵夫人と無関係」にこだわった背景には、2月17日の衆議院予算委員会での安倍首相の発言がある。

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