渋澤:北朝鮮情勢がキナ臭くなっていますからね。かつては、北朝鮮情勢が緊迫すると円安要因になっていましたが。
藤野:あまり考えたくない話ですが、ミサイル発射でリスクオフの円高。それが日本に命中したら円安というところでしょうか。
中野:オバマ前大統領時代の8年間って、米国にはもはやかつての力は残っていないから、世界の警察という大任は引き受けられない。だから、皆が共存共栄して平和を維持していこうという政策だったわけですよね。これに対してトランプ大統領は、それとまったく逆で、防衛費を大幅に拡大する方向です。世間では、トランプ大統領の政策は孤立主義だといわれていますが、そうではなく覇権主義だと思うのです。だとしたら、やはりドル安ではなく、ドル高でしょう。トランプ大統領の政策については、これまでの考え方を少し見直してみる必要があるのではないでしょうか。
藤野:私が気になるのは、敦賀原発の存在。あまり言いたくありませんが、破壊工作で爆発したら、中部から関東まで放射能汚染されることになります。日本にとってはとてつもないリスクです。3月6日に北朝鮮が、日本海に向けて弾道ミサイルを4発、発射したじゃないですか。THAADミサイルは、4発のミサイルを同時に迎撃できませんから、これは「俺を怒らせたら大変だよ」というメッセージです。北朝鮮情勢はしばらく目が離せません。
渋澤:でも、北朝鮮を野放しにしておけば、日米韓は連携を強めます。中国にとってはデメリットですよね。
1ドル=125円台は十分にありえるシナリオ
中野:日米同盟の安定は、米国のドル高容認に直結します。これがトランプ大統領の基本政策だとしたら、これまで彼の口から何度も出てきた、「日本は意図的に円を下げているからけしからん」という発言は、なくなっていくのではないでしょうか。
渋澤:私は1ドル=125円台は十分にありうると思います。
藤野:為替が動く時は一気に行きますからね。125円も想定の範囲内でしょう。
渋澤:今は円高の論調もありますから、一方的に円安が進むこともなく、やや円高に振れる場面もありますが、思ったよりも円高が進まないとなったら、逆に円安が加速するのではないかとみています。
藤野:為替の世界で著名な方に結構、円高派が多いのですよ。円安7割、円高3割というイメージで考えているのですが、円高を唱えている専門家が、これまた結構、相場を当てているので、円高にもまったく根拠がないわけではない。そこが悩ましいところですね。
中野:外国為替市場で最大のリスクは、やはりユーロではないでしょうか。3月15日に行われたオランダ総選挙では、EU離脱を主張する極右政党である自由党の票が伸び悩み、与党が第一党を維持しました。それは良かったのですが、次は4、5月に行われるフランスの大統領選挙が控えています。現状では可能性は低そうですが、もし、フランスの大統領に極右政党の党首であるマリーヌ・ル・ペン氏が就任することになったら、今度はフランスがEUから離脱するというリスクが浮上してきます。ブレグジットならぬ「フレグジット」ですが、もしこれが現実のものとなったら、ユーロ崩壊のリスクが高まります。もしフランスが抜けたら、イタリアも抜けるでしょう。
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