ゴルフ「霞ケ関CC」問題でモヤモヤが残る理由 五輪会場にすることは、決着の見通しだが…

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ゴルフの場合は特に自然を相手にするスポーツなので、夏場の霞ケ関CCはどんな状態なのか、芝は、風は、暑さは、といった情報を得ておくことで有利になる。

もし、霞ケ関CCが規則変更しなければ、また新たな会場コースを探し、たぶん改修が必要だろうから、その間は練習ができなくなり、完成時期次第では地の利がなくなる。日本選手に対して「アスリート・ファースト」ではなくなるということだ。

ゴルフ界にとって、五輪は大きなチャンスだ

費用面でも、霞ケ関CCは五輪に対応するコース改修を「自費」で賄って、すでに工事を終えている。新たに別のコースを会場に決めて、改修ともなれば、10億円単位のお金がかかるだろう。税金が新たに投入されるとすれば、ゴルフをやらない納税者に不満を感じる人もいるだろう。

ゴルフを知らない人に振り向いてもらうために、五輪は格好の舞台になる。メダルを獲得すれば、低迷するゴルフ業界にとってゴルフを知らない人にもゴルフを知ってもらういい機会になる。

日本選手をできるだけサポートしていくのが、これからのゴルフ界全体の仕事だと思う。いみじくも、青木功・JGTO会長は3月21日の会見で、こう言った。「これで五輪に向けて、ゴルフ界みんなが一つになってできることが喜ばしい」と。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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