鴻海・郭会長が「サムスン潰し」に乗り出した 中国に巨大パネル工場作り、世界制覇へ一手
一方、これと同じ日。ここから2000キロメートル離れた韓国で、サムスングループがグループの経営司令塔だった「未来戦略室」を解散すると発表した。今後、子会社69社は役員会を中心として、各自が独立的に経営を行うことになった。これは、サムスンの御曹司である、李在鎔 (イ・ジェヨン)サムスン電子副会長の裁判を控えた措置であることは明らかだ。韓国の聯合ニュースはこれについて、「サムスングループは事実上、解体した」と報じた。
が、郭会長は、それまでの笑みを隠しきれないといった表情から、一転して神妙な顔つきを見せて語った。「彼ら(サムスン)は現在、困難な時期にある。われわれはこれ以上、彼らに打撃を与えないようにしよう」。
「8Kの市場の可能性はあまりにも大きい」
2003年に郭会長は台湾で群創を創設。2010年には台湾の旧・奇美電子(ChiMei Optoelectronics)を合併した。その後、液晶パネル事業は、中国に向かい続けている。2004年に広東省深セン市の深超光電に資本参加した後、貴州省と河南省鄭州に、工場を開設した。そして今回は広州市だ。初期には携帯電話用のローエンドのパネル生産から始まったが、2012年にはシャープの子会社である堺ディスプレイプロダクトに資本参加、経営権を獲得して最先端の10.5世代技術を掌握すると、今度は一気に巨費を投じて広州市での工場開設を目指すことになったのだ。
この約1兆円を投じるプロジェクトは2019年に完成する予定。月間9万枚のガラス基板(2940×3370ミリメートル)を生産し、年間生産高は920億人民元(約1.5兆円)を見込んでいる。郭会長は「われわれが8Kパネルを生産するのは、将来のビッグデータ、画像の市場に対応するためだ。8Kは次の産業革命をもたらす」と語る。
そして、シャープの液晶テレビを指さして、「われわれが生産する65インチテレビは、2メートルの距離からでも、はっきりと鮮明な画面を見ることができる。もしこれを医療に使えば、8Kの映像は手術の精度を大きく高めることができる。安全監視システム、自動車分野のモノのインターネット(IoT)、オリンピック観戦など、市場の可能性はあまりに大きい」と強調した。
第10.5世代の8Kパネルは、8K分野の核心を成す部分であり、2019年は8Kにとって大きな転換点になると考えられている。鴻海の液晶パネル事業は、14年間を経て、技術と生産能力で一定の基礎を構築している。しかし、郭会長がさらに頂点を目指そうとするなら、まず生産規模を巨大化しなければ、液晶パネルと液晶テレビの巨人である、サムスンに勝つことはできない。
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