コーニング成長の原動力はイノベーション--ウェンデル・ウィークス米国コーニング社会長兼CEO

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コーニング成長の原動力はイノベーション--ウェンデル・ウィークス米国コーニング社会長兼CEO

米国コーニング社(本社・ニューヨーク州)は、液晶テレビ・モニター(ディスプレー)の重要部材である液晶用ガラスでシェア50%を握る。2位の旭硝子は25%程度と推定され、ほぼダブルスコアの最大手だ。液晶ディスプレーを生産するのは、日本、韓国、台湾などの東アジア企業で、ほとんどの部品・部材も同じ東アジアのメーカーが競い合っている。それだけに、最も重要な部材であるガラスで、米国メーカーのコーニングが首位を保っているのは、ひときわ異彩を放つ。液晶ディスプレー業界における圧倒的な存在感を誇るコーニング社のウェンデル・ウィークス会長兼CEO(最高経営責任者)に、経営戦略と日本市場への期待について聞いた。

--サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題以来、米国景気の不振が際立ってきている。コーニング社への影響は?

(液晶用ガラスを製造する)ディスプレイ事業は成長を続けており、今年も25 % から30%は成長しそうだ。排ガス制御を扱うエンバイロメンタル事業も成長を続けているが、大型ディーゼル車向け、つまりクリーンディーゼル事業は当初考えていたより成長率は悪くなりそう。20%成長を見込んでいたのだが、15% 前後になりそう。テレコミュニケーション事業も成長しているが、経済の停滞による影響については、まだ注意を要する。ライフサイエンス事業は新薬開発関連が主な業務なので、大きな影響はないのではないか、と考えている。
 
コーニング社の主要事業は、液晶ディスプレー用ガラスのディスプレイ事業、自動車排ガス浄化用セラミックハニカム担体およびフィルターのエンバイロメンタル事業、光ファイバーなどのテレコミュニケーションズ事業、理化学実験用ガラス器材や創薬スクリーニングのライフサイエンス事業、その他--となる。2007年の売上高は、58億6000万ドル(前年比13%増)、純利益21億5000万ドル(同16%増)。部門別売り上げ構成比は、ディスプレイ45%、テレコミュニケーションズ30%、エンバイロメンタル13%、ライフサイエンス5%、その他7%だ。

--コーニング社の前年の売上高のうち、ディスプレイ事業 が45%を占める。ディスプレイ事業に依存しすぎではないか。

コーニングはイノベーション(技術革新)により成長してきた会社だ。我々のイノベーションと顧客企業のイノベーションが合致して成功した時、新しい技術が古い技術に代わり、その事業が急速に成長する。その結果、1つの事業が損益計算書の最も重要な位置を占めるまでになることを今までに何度か体験している。売上高の45%を占める液晶用ガラスが、今まさにそうだ。

このやり方を基本的に変えるということはない。イノベーションによる成長がコーニングの特性だからだ。

ただ我々は2つのこと、会社にとっての安定性と長期的なバランスを重視する。安定性というのは、バランスシートにおける安定性で、負債よりキャッシュが多い状態を常に保つようにしている。そして既に比較的優位に展開している事業に対しては、テコ入れはしない。長期的に見て新しくかつ有望な事業に重点的に投資することでバランスを図る。例えば現在、当社ではクリーンディーゼル技術に多くの投資を行っている。これが成長すれば、現在優位なディスプレイ事業とバランスが取れるということだ。

会社として事業のバランスを取るには時間がかかる。10 年かかる場合もある。しかし、我々にとって常に長期的展望というのが重要なので、10 年というのは長くはない。

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