日本株はこれから1年で最高の時期を迎える 3月10日を過ぎれば、待ちに待った上昇へ

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以前、ダウ平均は過去の動きを参考にすると、200日線からおおむね7%前後の上方かい離で頭打ちになることが多く、そこを超えると12%前後まで上昇するケースがあるとお話いたしました。

NYダウはついに「大倍返し」2万1780ドルへ  

足元は、その水準でほぼピッタリ止まったことになっているわけですが、だからといって、テクニカル指標に売りサインが出ているわけではありません。依然として、下値を切り上げながら上昇が続く可能性が高いとみられます。そこで、いよいよ視野に入ってきた水準が2万1780ドルです。

あの「100年に一度の大暴落」といわれた金融危機の末に付けた2009年3月安値までの下げ幅に対する「大倍返し」の水準にあたります。いくらなんでも当面の上げ相場が一服するフシの1つで、筆者も長期の波動からこれまで上限と思っていた水準です。ただし、今がバブル相場の始まりだったらどうでしょう。

筆者は最近、2016年前半までの世界的なショックを吸収し、快進撃を続けるダウ平均の上昇を予測するとき、日経平均株価も1987年の「ブラックマンデー」後の低迷から立ち直り、1988年~1989年に大相場を演じたバブル相場を再度考察する必要があるのではないかと、感じています。

さて、日経平均株価のチャート分析で短期的なポイントは、25日移動平均線(1万9237円、7日現在)と75日移動平均線(1万9035円、同)が接近する時期です。現在は、25日移動平均線を挟んでいったり来たりのモミ合いです。モミ合いは細かな調整と置き換えてもいいかもしれません。

ただ、単にモミ合いといっても、意味があります。昨年のトランプショック時は、鋭角的で瞬間的な下への「往ってこい」の調整だったのに対し、いまの調整が時間をかけた対照的な動きになっていることが重要なのです。この対照的な動きは、オータネーションといいます。

どういうことかといいますと、5つの波で構成される上昇トレンドには3つの上げと2つの下げ(調整)が入っていますが、その2つの調整は同じパターンにはならない、というテクニカル分析の1つの理屈です。もちろん、絶対そうなるとは言い切れませんが、株価が今、トレンド上のどこにいるかの位置を確認する上での目安にはなります。なので、今の相場は1つのトレンド上では、「最後の上げ待ち」の状態と考えることができます。

上昇あるいは横ばいが続く25日移動平均線に、その下方で上昇を続けている75日移動平均線が近づくいつかのタイミングできっと、何らかの材料が出現し、株価は上放れていくような気がします。SQ後の上昇を加速する材料の出現となるならば、4月~5月には日本株は年内で最もいい時期を迎えることになるとみています。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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