「アクア」と「ヴィッツ」は何が似て非なるのか トヨタが小型ハイブリッド車を並べる理由
ヴィッツとアクアの方向性の違いはボディサイズにも表れている。どちらも全幅は1695ミリメートルと5ナンバー枠ギリギリに収まっているが、全長はアクアの3995ミリメートル (X-URBAN除く。以下同じ)に対しヴィッツは3945ミリメートルとやや短く、逆に全高はアクアの1445ミリメートルをヴィッツの1500ミリメートルが上回る。
欧州のこのクラスのコンパクトカーは、背を高めにすることで乗員を直立気味に座らせ、室内に開放感をもたらすパッケージングが主流だ。ヴィッツはその考え方を取り入れている。この点からも欧州志向であることがうかがえる。
ダイナミックなフロントマスク、横長になったリアコンビランプなどが特徴のスタイリングは、欧州仕様ヤリスと共通になったことも特徴だ。ヤリスは2014年から、国内向けヴィッツとは異なる、より大きなグリルが特徴のフロントマスクを導入していたのだ。今回のマイナーチェンジはその延長線上にある。
室内の違いは
室内ではメーターが大きく異なる。アクアはデジタル式センターメーターを採用しており、北米ではプリウスファミリーの一員となっていることを理解する。一方のヴィッツも先代まではセンターメーターだったが、現行型では一般的なアナログメーターを運転席の前に置く。
パワーユニットはエンジン、モーターともに、最高出力、最大トルクの数値まで共通であり、車両重量もヴィッツハイブリッドが20~30キログラム上回る程度なので、加速感については変わらない。しかしそれ以外の走りの部分では、欧州向けであることを感じさせる部分がいくつもある。
ボディの剛性感は高く、サスペンションは硬めであり、シートも座面の厚みと背もたれの張りを感じる。自動車の開発では、車種ごとにユーザーが出す速度域を想定し、それに合わせてサスペンションのチューニングを進めることが多い。ヴィッツハイブリッドの走りは、アクアより明らかに想定しているスピードレンジが高い、欧州車を思わせるキャラクターだと感じた。
現行ヴィッツは2014年のマイナーチェンジで、ボディ剛性を高めるスポット溶接の増し打ちや、床下の補強材の大型化、ショックアブソーバーの改良などを実施し、運動性能の向上を目指している。アクアの登場に合わせて欧州車寄りにシフトしたという見方もできる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら