市場は3月利上げをかなり織り込んだので、むしろ利上げなしでは混乱が起きてしまう。10日発表の米2月雇用統計は鬼門とは言え、イエレン議長は3日、「長期的な傾向でみれば、雇用の伸びは月7.5~12.5万人で整合性がとれる」と低いハードルを示した。仮に強い雇用統計となれば、先の利上げを市場が織り込みにいくだろう。
3月利上げを織り込む過程で、米国2年債は一時1.34%、米国10年債は一時2.52%台まで上昇した。しかしながら、市場はまだその先の利上げパスを十分に描けていない。具体的には、3月利上げとなった場合、年3回から4回を考えるようになるのか、3月の次は6月かそれとも9月かである。よって3月FOMCがいったんの材料出尽くしになるかは、声明文や経済・物価見通し、ドットチャートなどで、次の利上げを市場に意識させるかどうかで決まるだろう。
イエレン議長、利上げへの強い意志
トランプ政権の政策具体化は遅れているが、利上げストーリーが終わらずに続く可能性には注意が必要だ。追加利上げが強く意識されない場合には、米国10年債は従来レンジの2.3~2.6%にとどまるだろう。その一方で、仮にバランシート縮小の議論に関する文言もしくは発言があれば、2.6%を上抜ける可能性はある。米国10年債利回りが一気に上昇すれば、ドル円の118円トライがあってもおかしくない。最高値圏で推移する米国株については、米国経済の上振れによる利上げ継続ならば、適度な調整はあっても急落には至らないだろう。
最後に、2月14日のイエレン議長の議会証言での服装は、紫色のジャケットだった。この服は、2015年12月16日の利上げ開始決定時の会見と同じ。筆者のイエレン議長ウォッチによるのだが、彼女は覚悟を持って臨む時には、概ね紫色を選んでいる。彼女の勝負色は紫だ。勝負色で証言に臨んだイエレン議長は、自分の意志を突き通したかったのではないだろうか。2018年2月の議長任期までに金融政策の正常化を少しでも進めたいという強い覚悟だったように思える。
ちなみに3月3日の講演は、黒地に白の格子柄ジャケットだった。平常時は黒を好んで着ており、FRBのホームページ掲載写真がまさにその典型的な装いと言える。FOMCメンバーに守られて、3月の利上げに向かうのは平常心でこなせるだろう。3月FOMC後の会見時の、イエレン議長の服装にも注目したい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら