「1ドル110円、日経平均500円安」の現実味 リスクは10日の日米首脳会談前にもある
米国のトランプ政権が発足して、早くも2週間ほどが経過した。トランプ大統領は文字通り「有言実行」のスタートダッシュを決めている。就任後の100日間は、俗に「ハネムーン」とも言われ、メディアが厳しい意見を控えるのが暗黙の了解だが、ツイッターでのトランプ大統領の口撃は止まる気配はなく、自ら「ハネムーン」を打ち破った格好だ。
トランプ大統領が日米首脳会談で不満を述べたら?
金融規制の緩和やパイプライン建設など、市場がポジティブに反応する大領領令もあるが、1月27日に署名した入国禁止に対する大統領令に関しては、市場の批判も厳しい。大統領令署名後の欧州市場では、主要国の株価指数が一時1-2%下落した。全世界で反対の声が上がるなか、米司法省とトランプ政権との応酬は当分続きそうな状況だ。
こうしたなか、いよいよ2月10日に安倍首相とトランプ米大統領による日米首脳会談が実施される。初めての首脳会談は、関係性の構築に重点が置かれるような気はするが、事前に伝わっているコメントなどを見る限り、通商政策、為替水準、安全保障などに関して激しい応酬が繰り広げられる可能性がある。
仮にトランプ米大統領が、日本銀行が進める「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」や「上場投資信託の購入」に対する不満を述べた場合、為替市場では、ドル安円高が加速し株価は急落。ドル円は1ドル=110円台、日経平均は1万8500円あたりを一時的につけるだろう。
1月31日に行われた製薬メーカートップとの会合で、トランプ大統領は「中国が何をしているか、そして、日本が何年も何をしてきたか見てみろ。彼らは為替を操作して通貨安に誘導している」と、日本および中国を名指しで批判した。また、「ほかの国々は資金供給と通貨安への誘導で有利になっている」とも述べている。
「ほかの国」がどこを指すのか明らかとなっていないが、足元で資金供給を行っているのは、欧州と日本のため、日欧の金融政策に対する不満と読み取ることができる。「米国第一主義」を掲げるトランプ大統領からすると、「米国の貿易赤字は我慢ならん」といったところなのだろう。
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