――すると、いかに観光客に認知してもらい、乗りに来てもらうかというところが重要になってきますね。昨年、東京に営業所を開設されたということですが、これもその一環でしょうか。

2012年に起きた高速ツアーバスの事故によって、国土交通省がバスの規制を強化しました。1人の運転士なら昼間は500キロ、夜は400キロと運行キロ数の上限が決められて、それ以上は運転士さんが2人必要です、と。2人運行のツアーは単価が高くなるので、日帰り旅行の企画自体が激減した。その影響をもろに受けたんです。
東京出発で大井川鐵道に来て帰るのは、それだけなら500キロ以内ですが、例えば焼津に寄ってマグロを食べて帰る、というようなパターンだと、すぐに500キロを超えてしまう。
でも、その単価に見合うだけの価値をちゃんと提供すればお客様は来るということを前提に、われわれの魅力を今まで以上にお伝えし、来ていただくための仕組み作りとして、昨年11月に東京営業所を9年ぶりに開設したんです。
魅力と知名度アップへの戦略は?
――営業所を新設するとなると維持費もかかりますし、相当な英断だと思います。以前より割高になってしまったところをどんなサービスでカバーするのか、具体的に教えていただけますか。
近隣の宿泊施設などとの協力や、今年は(静岡県ゆかりの井伊直虎が題材の)大河ドラマ「おんな城主 直虎」がスタートしましたので、そういったものとコラボレーションしたツアー企画をご提示するとかですね。あとはまもなく全線再開する井川線です。日本一高い鉄橋である関の沢鉄橋の体験などは、お話すると反応も非常にいいですね。
――知ってもらうということですと、テレビなどのロケーションサービスについてはいかがですか。
最近の成功事例ですと、ダイハツ・キャストという車の「SLと併走できる道」というCMが大きな反響がありました。あと、NHKの「サラメシ」という、サラリーマンのお昼ご飯を特集する番組で弊社のSL運転士が取り上げられましたが、汗を流して働いている現場の人間を取り上げてもらえるのは、本当の意味での大井川鐵道らしさが表れると思うので、とても嬉しいですね。
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