焼肉店「にくがとう」がかなり規格外なワケ まるで食のエンタメ!海外ブロガーも注目
メニューのアイデアは三浦さんのひらめきがもとになることも多い。たとえば、「至福のエビ肉」という新規開発メニューは、ロブスターと子牛の胸腺(リードボー)を同時に口に入れることで、味の調和を味わうメニュー。「赤身ランプとフォアグラソテーのキットカット風」は、チョコレート棒を折って食べるように、赤身ランプとフォアグラを細長くサンドイッチにして、折り曲げたり、ミックスしたりと、好きなかたちで食することができる。
こうした新規開発メニューは、店のリピーターや赤身肉のファンに提供する。フェイスブックを通じて、過去のオーダー履歴をチェックし、その人に合わせたコースメニューをアレンジしたり、新規メニューを体験できる「会員証」を渡したり。月に1度は三浦さん自ら、「スペシャル肉会」を開き、肉の知識をさらに深めて楽しむ機会を提供している。
飼育に携わった「カールちゃん」を店で出す意味
生粋の赤肉好きである三浦さんだけに、にくがとうで提供する和牛へのこだわりも半端ない。「尾崎牛」や「特選松阪牛」「赤うし」など店で扱う和牛は、ブランドだけなく、生産者も厳選。知人や精肉店などから、「おいしい牛を育てている生産者がいる」と聞けば、半年に1度は店のスタッフとともに訪れる。牛が何を食べているのか、どんな環境で育っているのかを知り、「健康体」であるかを見極めるためだ。こうして、現在では6~7件の生産者が手掛ける和牛を扱うようになった。
「和牛が世界から認められる高品質を保っているのは、日本の『おもてなし度』が高いことと関係ある。つまり、牛への気配りがどれだけできるかということ。ストレスを感じているようだったら、広いスペースに出してあげたり、かゆいところをブラッシングしてあげたり、胃を丈夫にするために飼料の内容を変えたり。こうしたきめ細かさと努力の結晶により、和牛は生産されている」(三浦さん)
和牛の質を徹底的に追求するうちに、自ら和牛の飼育にも携わるようになった。信頼する高知県の若手生産者が手掛ける「土佐のあかうし」と言われる褐毛和種で、そのうちの1頭を「カールちゃん」と命名。年間出荷量が700頭という希少な種類であるカールちゃんは、昨年生後28カ月で出荷されるまで、自然の環境でストレスを与えないように放牧され、牧草のみで大切に育てられた。
そのカールちゃんは今、にくがとうで振る舞われている。食す客には、カールちゃんが牧場にいたときの様子や、トラックで出荷されるときの写真も見せる。三浦さんがそこまでするのは、「命あるものをいただくことに対する、感謝の気持ちが土台にある」(三浦さん)からだという。
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