安倍政権の財政規律を判定する3つの試金石 市場動向を読む(債券・金利)

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第1は中期財政計画の策定である。

政府はそこで、経済財政運営に関する「骨太の方針」(6月14日に閣議決定)に明記した財政健全化目標の達成への具体的な道筋を示す。健全化目標は、2015年度までに国・地方の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の名目GDP比の赤字幅を10年度のマイナス6%に比べて半減させ、20年度までに黒字化するというもの。政府が8月上旬をメドにとりまとめ、9月5~6日にロシアで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議で安倍首相が各国首脳に説明することになっている。

焦点は“目標達成への具体的な道筋”とはいかなるものか?である。

内閣府の試算(中期財政計画策定の基礎資料)によると、目標達成のためには2度の消費増税のほか、14年度からの2年間で国と地方を合わせて計5兆円の税収増か歳出削減が必要になるという。補正予算を編成せず、高齢化に伴う社会保障費の自然増を抑制することも前提。とすると、その5兆円は景気回復による税収増か歳出削減に頼ることになる。

歳出削減が政治的に困難だからと言って前者だけで賄おうとした場合、名目経済成長率は1%台半ばから3%近くの高い伸びが必要になるという。そのような脱デフレと経済成長の加速を見込めない場合には、政府は消費増税・第3弾などの増税を考えなければならない。かくも高き目標の達成に向け、政府は果たして、具体的かつ現実的な道筋を債券市場に示し、財政規律への信認を維持できるのだろうか。

消費増税先送りの可能性がまだ排除できない

第2は消費増税の最終判断。それは増税半年前の10月の予定なので、安倍首相はこの夏場、世論や市場の風向きを手探りする。

もとより消費増税は既定路線である。

昨年の3党合意での景気条項という「ハードル」もクリアされつつある。8月12日に発表される4-6月期分の実質GDPは、前1-3月期が前期比年率プラス4.1%に上振れしたにもかかわらず、同プラス3%近くが見込まれ、高めの成長率を持続する見通しである。昨年度の大型補正予算や異次元緩和による円高是正など『総合的な施策の実施その他の必要な措置』(景気条項)の成果による。

また、消費増税は国際公約にもなっている。6月18日のG8首脳宣言でわが国政府は、『信頼できる中期財政計画が必要』とクギを刺されたことから、前述のとおり2度の消費増税を前提に策定しようとしている。

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