世界の破滅を防ぐためにやるべき5つのこと 米英独ロの元高官・議員が「これならできる」

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2つ目は、現在のような核兵器の迅速な発射が可能な状態を回避することだ。米ロは、戦略核兵器の大半を即時発射可能な状態でなくするための議論を開始することを約束すべきである。そうすれば核の脅威を減じる方向に舵を切ることができる。

3つ目は、核兵器や放射性物質がよからぬ勢力の手に落ちるおそれを取り除くことだ。過激派組織IS(「イスラム国」)は、欧米などでの新たなテロ手法として、放射能汚染を引き起こす「汚い爆弾」の入手と使用を模索している。米ロと欧州はこうした脅威を取り除くべく、放射性物質を管理下に置かねばならない。

2044年では遅すぎる

放射性物質を使用する施設の管理には、まだ甘い部分が残っている。世界全体でその管理を徹底させるには2044年までかかると推定されているが、それでは遅すぎる。

4つ目は、NATO(北大西洋条約機構)とロシアとの間で新たな軍事危機管理グループを樹立することだ。両者間の意思疎通を通じて、軍事衝突のリスクを低減する必要がある。そこで肝要なのは、あらゆる面で透明性と信頼性を高めることだ。

最後に、空中での偶発的な事故が軍事紛争につながるリスクを減らさねばならない。NATOとロシアにまたがる空域では今、双方が軍事活動を活発化させている。その結果、民間航空が危険にさらされている。

現在バルト海空域で活動している国々は、民間航空機と軍用機が接近した場合に「十分な配慮」をするよう取り決めるべきだ。透明性を高めるための技術支援も、空中での衝突リスクを低減することにつながる。

欧米とロシアは現在、広範な危機に直面している。そのため共通の利益に基づき、ユーロアトランティックの安全保障から目をそらすべきではない。われわれがここで確認した事項は、実用的なものばかりである。だからこそ、すぐに着手する必要がある。

週刊東洋経済3月4日号

デズ・ブラウン 元英国防相

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デズ・ブラウン / Des Browne

元英国防相。現在はシンクタンクの欧州指導者ネットワーク(ELN)議長を務める

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ヴォルフガング・イッシンガー 元独外務次官

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Wolfgang Ischinger

駐米ドイツ大使、駐英ドイツ大使を歴任。国際的な安全保障協議機関であるミュンヘン安全保障会議(MSC)議長

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イーゴリ・イワノフ 元ロシア外相

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イーゴリ・イワノフ / Igor S. Ivanov

元ロシア外相。シンクタンクのロシア国際問題評議会(RIAC)代表

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サム・ナン 元米上院議員

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サム・ナン / Sam Nunn

元米上院議員(民主党)。現在は民間団体、核脅威イニシアティブ (NTI)の共同議長兼CEO(最高経営責任者)を務める

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