2つ目は、現在のような核兵器の迅速な発射が可能な状態を回避することだ。米ロは、戦略核兵器の大半を即時発射可能な状態でなくするための議論を開始することを約束すべきである。そうすれば核の脅威を減じる方向に舵を切ることができる。
3つ目は、核兵器や放射性物質がよからぬ勢力の手に落ちるおそれを取り除くことだ。過激派組織IS(「イスラム国」)は、欧米などでの新たなテロ手法として、放射能汚染を引き起こす「汚い爆弾」の入手と使用を模索している。米ロと欧州はこうした脅威を取り除くべく、放射性物質を管理下に置かねばならない。
2044年では遅すぎる
放射性物質を使用する施設の管理には、まだ甘い部分が残っている。世界全体でその管理を徹底させるには2044年までかかると推定されているが、それでは遅すぎる。
4つ目は、NATO(北大西洋条約機構)とロシアとの間で新たな軍事危機管理グループを樹立することだ。両者間の意思疎通を通じて、軍事衝突のリスクを低減する必要がある。そこで肝要なのは、あらゆる面で透明性と信頼性を高めることだ。
最後に、空中での偶発的な事故が軍事紛争につながるリスクを減らさねばならない。NATOとロシアにまたがる空域では今、双方が軍事活動を活発化させている。その結果、民間航空が危険にさらされている。
現在バルト海空域で活動している国々は、民間航空機と軍用機が接近した場合に「十分な配慮」をするよう取り決めるべきだ。透明性を高めるための技術支援も、空中での衝突リスクを低減することにつながる。
欧米とロシアは現在、広範な危機に直面している。そのため共通の利益に基づき、ユーロアトランティックの安全保障から目をそらすべきではない。われわれがここで確認した事項は、実用的なものばかりである。だからこそ、すぐに着手する必要がある。
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