マツダ「CX-5」が最新進化で見せた熟成のワザ 2代目への移行で本質をしっかり追求した

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マツダの会社規模を考えれば、ラインナップをやみくもに増やすことや、台数の見込めない国内専用モデルを開発するのはリスクが多いのもわかるが、数多くの既販ユーザーが困っているのも事実のようで、2016年は国内販売が低迷している。

マツダの道筋はいっさいブレていない

開発の陣頭指揮を執った児玉眞也主査(撮影:梅谷秀司)

初のCX-5のフルモデルチェンジは、マツダの新世代商品が第2フェーズのスタートを切ったことを意味する。ただ、今回のフルモデルチェンジは「進化」というよりは、「深化」といっていい内容だ。開発の陣頭指揮を執った児玉眞也主査はこう言う。

「確かに新型CX-5には飛び道具はいっさいありません。だからこそ、静的質感や動的質感といった本質の部分を大事にしてシッカリと煮詰めよう、と。マツダは過去に大成功したモデルがいくつか誕生していますが、残念なことに次のモデルに続かない。私の中で『一発屋のジンクスを打ち破りたい』という意地もありました」

そういう意味では初代が道を作り、2代目が道を固めていく、というイメージなのだろう。まさに起承転結の「承」と呼ぶにふさわしいフルモデルチェンジである。もちろん目新しさも大事だと思うが、トレンドに合わせてあっちにフラフラ、こっちにフラフラといった過去のマツダではなく、「スカイアクティブ」「人間中心」「鼓動デザイン」というマツダの道筋は一切ブレていない。

そんな新型CX-5はLAショーで世界初公開されたが、雑誌やインターネットなど「2次元」で見た人の感想は「ほとんど変わっていない」という意見が多かったものの、現地で実車を見た筆者の印象はキープコンセプトながらも先代が一気に色あせてしまうくらいレベルアップを感じた。

それはキャビンとボディのバランス、トレッド拡大によるタイヤの踏ん張り感などからくる「スタンスのよさ」と、従来は「線」で造形をコントロールしていたのに対して、新型は柔らかい断面の変化を“面”で表現している違いが大きいのだが、それは2次元で見ると非常にわかりにくい。

「昨年の12月15日に日本向けの発表会は一般ユーザー対象の枠もありましたが、『全然変わっていないと思っていたけど、すごく変わっていますね』というのがそのときの反応でした」。児玉主査は話す。

写真だとボディサイズが大きくなったように見えるかもしれないが、実際のボディサイズは全長が+5ミリメートル、全幅は変更なし、全高は-15ミリメートルとほとんど変わらない。また、薄型化したヘッドランプ、左右の広がりを強調させたシグネチャーウイング、フロントグリルの精緻なパターンの採用により、より彫りの深い表情も手に入れている。

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