マツダ「CX-5」が最新進化で見せた熟成のワザ 2代目への移行で本質をしっかり追求した

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フットワーク系は従来モデルも滑らかなGや連続性にこだわっていたが、他のマツダ新世代商品と比べると大味な印象だったのと、縦方向=乗り心地の部分に課題があったが、新型は若干曲がりたがる性格となったものの、よりドライバーの操作に繊細に反応するクルマに仕上がっている。

筆者は新型CX-5で路面μの低い雪道を走る機会があったのだが、初代では下りコーナーなどでタイヤのグリップ感が感じにくくアウト側になかなか寄せられないような状況でも、新型はFF/AWD共に同じ速度でもタイヤのグリップがわかりやすいので、アウト側ギリギリのラインでも余裕で走らせられる。つまり、クルマに対する信頼度や安心感が全然違う。

ものすごく“調律”されたモデルに

また、ストローク感がより高まり、動きのよくなったサスペンションにより運転席のみならず、後席の快適性も大きくレベルアップ。また、静粛性は100キロメートル/時走行時の会話明瞭度は約10%改善されているようだが、実際にはそれ以上の差に感じた。初代はBOSEオーディオのありがたみはあまり感じられなかったが、新型は間違いなく「いい音」だとわかるレベルだった。

「初代はステアリングやハンドリングに注視しすぎていた部分もあり、快適性に関しては課題があったのも事実です。そこで新型では『静粛性アップ』は重要な課題でした。音源の抑制はもちろん、板厚がアップされたガラスや吸音材の採用や車室内吸音(反射音を消す)などを行っています。人体共振する所の周波数の入力を抑える……という考えを盛り込み、測定でも3割くらいよくなっていますが、どこを変えたから……ではなく、車両全体でバランスさせるためにさまざまな領域が垣根を越えて取り組んだ結果です。そういう意味ではものすごく“調律”されたモデルに仕上がったと自負しています」(児玉主査)

日本では12月15日の発表から1カ月半の予約受注台数は9055台(月間発売計画台数は2400台)と出だしは好調のようだ。CX-5からの乗り換えだけでなく、他車からの乗り換え比率が多いという。

新型CX-5はマツダの「理想」に向けて、真正面から向き合い、愚直に挑戦した1台であることは、実際に見て、触って、乗って見ると素直に理解できる。その一方で、日本市場ではこれまでの「安売りのマツダ」というイメージを持つ層からは、「マツダはお高くなった」「ディーラーに行きづらくなった」という意見も聞く。

そのギャップをどのように埋めていくのかも課題だろう。新世代商品が生まれてから5年、マツダブランドをより高みに持っていくためには、クルマというハードだけでなく、販売サイドやユーザーの啓蒙を含めたソフトの刷新も必要なタイミングに来ているのかもしれない。

山本 シンヤ 自動車研究家

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やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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