「鉄道廃止」を受け入れた夕張市の狙いとは? 財政破綻の経験が生んだ「攻め」の姿勢

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夕張支線の鹿ノ谷駅。夕張市は支線に沿った南北軸を骨格とするコンパクトシティ化の計画を推進してきた(写真:t-skywalker / PIXTA)

夕張支線廃止の受け入れ以前より、市では「夕張市まちづくりマスタープラン」を策定。夕張支線に沿った南北軸を骨格とし、中でも清水沢地区を都市拠点とするコンパクトシティ化の計画を推進してきた。その中で、JRだけでなく路線バスやタクシーを含めた公共交通全体の再構築が不可欠だったのだ。

「バス会社の従業員の年齢構成を見ると、60代後半が非常に多い。このままの状況では、5年10年経ったらもう路線を維持していくことは無理です。どこもかしこも負担ばかりで、市が補助をしたところでいつか悲鳴をあげる。現状の仕組みではあまりにも無駄が多いですし、そのあたりを市が旗振り役になって整理していかないと、いつかすべての公共交通が壊滅してしまう時がきてしまいますから」

「縦割り」の無駄をなくす

“無駄の多さ”の最たる事例は、「縦割り」にあるという。例えば、タクシー会社やJR、路線バスがバラバラに連携を取らずに運行し、さらに学校はスクールバス、病院は無料の送迎バスを用意して走らせる。その結果、どこも運転手不足に悩まされ、時間帯によってはほとんど稼働していない車両を抱えて赤字を膨らませる……といった具合だ。

「だったら、市が中心になって時間軸で捉えていく。日中には病院が高齢者の送迎をやっている。朝夕は路線バスは動いていない一方で、学校のスクールバスが走っている。それなら車両をシェアすることができますよね。そして運行はタクシー会社が請け負えば効率がいい。朝は子どもたちを運んで、その後は病院の送迎、そして夕方にも子どもたちを運ぶ。そうすれば隙間なく仕事があるし、人員にも無駄がなくなり収益にもつながっていく。そうやってひとつひとつ無駄を潰していく作業をしているところです」

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