「話がわかりやすい」人は一体何が違うのか 理系作家がそのナゾを解き明かす

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そもそも、わかりやすさとはいったいなんでしょうか。あなたは、考えたことはありますか? あなたが人の話を聞いたり、本やウェブサイトを読んでいて「わかった!」と思うのはどんな瞬間でしょうか。

「わかった!」と感じる瞬間、脳の中では何かが起きているはずですよね。

さまざまな研究結果があり、とらえ方や考え方も人それぞれでしょう。
しかし、サイエンス作家として、文系・理系の話に触れ、多数のわかりやすい人たちと接してきた、私の解釈はこうです。

「頭の中に『絵』が浮かび上がった瞬間に、人はわかった!と感じる」

「ん? 意味がわからない……」

「?」マークが浮かんだかもしれません。順を追って説明しますね。

「なぜ、簡単な話が通じないんだ!」が起こる理由

人間は記号を扱う生き物です。記号には、ひらがなや漢字、アルファベットなどの文字はもちろん、数字や音符も含まれます。地球上の生き物の中で、記号を駆使してコミュニケーションできるのは人間だけ。記号は、長い年月をかけて改良してきた便利な道具なのです。

数字を使えば、「数」を正確に伝えられますし、音符を使えばメロディも共有できます。言葉を使えば、目の前にない「イメージ」も相手に伝わります。

では、人間は、記号をどのように処理しているのでしょうか。

実は、記号は、それだけでは伝わりません。記号が人に届くと、脳は記憶を検索し始めます。そして、人の脳内でこれまでの知識や経験と、記号とが見事にマッチングできたときに、初めて「わかった!」となるのです。

つまり、こうです。

外から来た「記号」=内にある「記憶」

この処理の途中で、脳内で「絵」を描き上げます。「絵」が鮮明に描けたときに初めて「わかった!」と感じるのです。

たとえば、友達との会話で「昨日、海で犬と遊んだ」という言葉が出てきたとします。すると、自分の脳内に、海と犬の「絵」が浮かびますよね。そして、波打ち際で人間と犬が遊ぶ「映像」になると思います。

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