トランプ政権に綻びーー。米国で国家安全保障を担当する大統領補佐官であるマイケル・フリン氏が2月13日辞任した。大統領補佐官就任前にロシアの駐米大使とロシアへの制裁について協議した事実を、マイク・ペンス副大統領に隠していたことが問題視されていた。
筆者は2月11日から米国に出張のために滞在しているが、フリン氏辞任のニュースは、主要メディアのみならず、比較的中立的な議会3誌も以下のような厳しい論調で伝えている(表現は各紙の記事タイトル)。
ロシアとの関係改善は先延ばしに?
こうした記事からも明らかなように、現時点のフリン氏辞任の論点は、辞任そのものではなく、トランプ政権の外交・安全保障の先行きが論点となっている。フリン氏の辞任は、トランプ政権の存続につながる問題にもなりかねないが、今回は辞任の外交・安全保障への影響を、戦略論として考察してみたい。
トランプ大統領は、就任以前からロシアとの関係を改善させることを明言してきたが、この方針が今回の顚末を招いたとも考えられるだろう。辞任によってトランプ大統領のロシアとの関係性を追及する声も高まっているため、これまで想定してきたロシアへの制裁解除などの政策は、実行のタイミングや、内容を見直さざるを得なくなるだろう。
イスラム国(IS)との戦いにおいてロシアと協調することによって、既成事実としてロシアとの関係性を改善していくことも選択肢として考えられる。ただし、現在の厳しい論調からすると、その選択肢も時期が延びる可能性が高いのではないだろうか。
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