日米の「対中姿勢」には深刻な温度差がある トランプ政権は米中融和を目指す可能性
日米首脳会談としては近年まれにみる注目度となった安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領の会談は、極めて現実的な成果を生み出した。ふたを開ければ、型破りなトランプ大統領も実にオーソドックスな首脳外交をして見せた。
トランプ大統領は基本的にオバマ前政権の安保政策を継承し、アジア太平洋での軍事プレゼンスを強化する方針を示した。東アジアの多くの国々は、中国のカウンターバランスとしての米軍の強いプレゼンスを望んできただけに、きっと胸をなで下ろしているに違いない。
なぜ東南アジア諸国は中国に歩み寄ったのか
タイのチュラロンコン大学安全保障・国際問題研究所所長のティティナン・ポンスディラック氏は、オバマ政権時代のリバランス政策が不十分で効果を上げなかったことから、タイをはじめとする東南アジア諸国が中国に歩み寄ったと指摘。そのうえで、「すべての東南アジア諸国は中国に対する防衛策を持ちたいと思い、実際、日本に接近することによってそうしてきた。しかし、日本は中国への対抗勢力としては十分ではない。米国がトランプ政権の下で東南アジアに戻ってくるならば、米国は同盟国と協力して、よりバランスの取れた地政学の環境を東南アジア諸国に提供することができる」と話した。
日米首脳会談の成果を永田町はどう受け止めているのか。伊達忠一参議院議長は14日、筆者の取材に対し、「2人はあれだけ親密に過ごし、日米同盟の結束を世界中に示した」と満足げだ。
とはいうものの、今後の日米関係とアジア太平洋地域全体を考えれば、手放しで評価できない点がいくつもある。第一に、安倍首相とトランプ大統領の間で早速、対中姿勢に温度差が垣間見られたことだ。
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