原発で致命的な誤算、東芝の「失われた10年」 お手盛り調査で問題発覚を先送り

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東芝は、06年10月WH株77%を取得。現在の出資比率は87%で、その間の追加取得と一部売却を差し引いた合計の買収金額は約5500億円に上る。WHは東芝にとって過去最大の買収案件だ。

買収当時の社長の西田厚聡氏は「集中と選択」を掲げ、競合した三菱重工業に2000億円以上の差をつけたとされる。高値による買収は、「のれん地獄」(東芝幹部)としてのしかかった。

西田氏の後任社長で、原発畑出身の佐々木則夫氏は09年8月の経営方針説明会で「15年までに39基受注を見込む」との計画を打ち出した。福島原発事故の発生から間もない11年4月に報道各社の取材に応じた佐々木氏は、「(原発の)減損リスクはほとんどない」と述べるなど、強気の姿勢を崩さなかった。

原子力技術者として東芝で勤務した後藤政志氏は、ロイターの取材で、「半導体と原発に特化したしたことに決定的なミスがあった。東芝はそうした会社ではなく、広く保守的に、安定的に事業をやる会社だった」と述べた。

政府の支援必要との声も

電機業界に詳しい早稲田大学ビジネススクールの長内厚教授はロイターの取材で、東芝の現状について「ここに至っては止むを得ないのかもしれないが、かなり厳しい状況だ」と指摘した。

東芝は経営再建の柱として、1)メモリーを中心としたストレージ(記憶装置)、2)社会インフラ、3)原発を中心とした社会インフラの3つを掲げていた。しかし原発が巨額損失を計上、債務超過回避に向けて稼ぎ頭のメモリー事業の全額売却も否定できない状況だ。

長内教授は、「今回乗り切れば来期以降に原発事業が黒字化を見込めるかといえば、おそらくそうではない。本来は政府が公的な形で東芝の原発事業を引き取るなり、バックアップしないといけないタイミングではないか」と述べた。

(浜田健太郎  編集:北松克朗)

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