目標達成しない人が軽視する「基本中の基本」 「個人目標」がないかぎり人は動かない

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人は基本的に「変化を嫌う生き物」。新しい業務指示や、変更などは面倒くさいものです。だからこそ、先輩の側が「会社の指示だから今日からやってね」と丸投げするのではなく、「こういう理由で指示がきている」「お客様にとってこういうメリットがある」「私たちにもこういうメリットがある」という背景を丁寧に説明し、後輩に納得してもらうことが重要なのです。

目標達成は「超基本」の徹底から

「個人目標の設定」に加えてもうひとつ、チームや個人が目標達成するときに重要なことがあります。それは、「基本の徹底」です。基本の大切さは、ベテランであればあるほど身にしみてわかっているものの、若手や新人は軽視しがちです。

ANAの日々の運航を支えているライン整備部門には、バブル崩壊当時の採用凍結の影響で、 現在30 代後半から 40 代の社員が極端に少なくなってしまった現実があります。

この問題を解決するために始めたのが、「コーチングチーム」という制度です。コーチングチームとは、一度リタイアしたシニア整備士を再雇用し、新人の育成にあたらせるというものです。40年以上整備部門に在籍し、ANAビジネスソリューションでヒューマンエラー対策講師を務める宮崎志郎は、この仕組みを支援してきたメンバーの1人です。宮崎は説明します。

「シニア整備士たちは現場の若手を外から見守って、声をかけるのが仕事です。現場に若手の面倒を見る中堅社員がいれば自然にお手本を見せてくれていることを、代わりに実践するのです」

ただ、シニア整備士たちはもともと職人気質で、しかも技量はトップレベルの「スーパー整備士」。彼らにいきなり新人の指導をさせると、「なんでこんなこともできないんだ!」としかってしまいます。

そこで、宮崎のような人材育成畑の人間が、シニア整備士にコーチングの知識(質問やアドバイスの仕方など)を伝えたうえで、現場に送り出しています。

「コーチングチーム」で、シニア整備士から新人たちに徹底して教えられるのが「ベーシックマナー」、つまり基本動作です。

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