目標達成しない人が軽視する「基本中の基本」 「個人目標」がないかぎり人は動かない

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ANAでは、チーフパーサーがフライト1便ごとに「フライト方針」と呼ばれる目標を決めています。

【 10 月 10 日、成田‐ニューヨーク線の品質(サービス)の方針】
「日本らしさ」をお客様にお伝えしましょう。

 

これを、1便ごとに各CAの目標にまで落とします。「日本らしさ」と聞いても、若手は具体的に何をしたらいいのかわかりません。そこで、この方針を具体的な行動に落とし込んだ目標をパーサー(先輩)が考え、後輩一人ひとりに伝えます。

【パーサーから伝えられる目標(一部)】
・ビジネスクラスでは、折り紙をディスプレイしたり、日本酒をおすすめしてみましょう。
・エコノミークラスでは、化粧室をきれいに保ちましょう。

 

ここから先、たとえば折り紙を誰が折るのか、ディスプレーを誰が行うのか、どのような声かけで日本酒をお勧めするのか、毛布をお持ちするのか、しないのか……といった細かいことについてパーサーは指示を出さず、後輩一人ひとりが考え、自分の目標を立てます。

そしてフライトが終わった後に、仕事の進め方がよかったかどうか、課題はなかったかなど振り返り、仕事の改善に役立てます(これをANAでは「デブリーフィング」と呼びます)。一人ひとりが1便ごとに目標を持つことで、振り返りも効果的になると、CAの申は言います。

「日本らしさをお客様にお伝えできましたか?」と振り返っても、○だったのか×だったのかがわかりません。でも、一人ひとりが自分の目標を具体的にすることで、「私はお客様に温かい日本茶をおすすめしたところ、喜んでいただけました」「私は外国人のお客様に日本酒をお勧めしましたが、味や原料などについて、より具体的な英語表現を身に付けたほうがよいと気づきました」といったように、達成できたかどうかが明確になるのです。

指示を遂行させるときは「背景」を伝える

空港センター旅客サービスチームで全空港の国内線グランドスタッフのインストラクターを務める平池愉美子は、会社からの業務指示や変更などを後輩に伝えるときは、必ず「背景」を補足するようにしていると言います。

「私たちが働く空港は、日々変化の多い職場です。たとえば、ANAでは2015年から羽田空港に、日本で初めて自動手荷物預け機を導入しました。こうした新しい機器が導入されるときにも、単に機器の使い方を説明するのではなく、『なぜ、導入されたか?』『グランドスタッフとして、どういう行動をしてほしいか?』を説明しています。そのほうが、みんなが納得して動いてくれるからです」

自動手荷物預け機であれば、導入の1番の目的は、窓口の行列を緩和すること。平池は後輩に「自分で手荷物を預けられるお客様にとっては、時間短縮や利便性向上といったメリットがあります。また、その分、係員を必要としているお客様には今まで以上のサービスを提供できるようになります。列に並んでいるお客様には自動手荷物預け機があることを知らせてみてください」と提案しました。

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