目標達成しない人が軽視する「基本中の基本」 「個人目標」がないかぎり人は動かない

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ベーシックマナーとは、たとえば次のようなものです。

・工具を床に置くときは、必ず布(ウエス)を敷いて、その上に並べる
→理由:路面のゴミを機体に付着させない(不具合の発生や故障の原因になるため)
・ヘルメットの着用
→理由:転倒、転落、突起物から頭部を守る(過去に作業中ケガをしたから)
・雨の日は、雨合羽を着たまま機内に入って作業してはいけない
→理由:水滴が垂れて故障の原因になるため(機内を水滴で汚損しないという人としてのマナー)
 

 

ところが、「新人たちは、ベーシックマナーを教えられると最初は戸惑う」と、整備士の宮崎は言います。

「社内で誰もが名前を知っているスーパー整備士が現場に教えにきてくれると聞いて、新人たちは沸き立ちます。『どんなすごい技術を教えてくれるんだろう?』『レベルの高い人は何をしてるんだろう?』と。ところが指導されるのは、整備士なら誰でも知っているような当たり前のことばかり。最初は、なんだそんなことか、もっと難しいことを教えてほしいのに、という意見が大半です」

しかし、毎日毎日「ヘルメットを被れ!」「工具はウエスの上に置け!」と、基本動作の指導ばかりを受けていると、だんだん新人たちの態度が変わってきます。あまりにしつこく、繰り返し同じことを言われるため、「本当に大切なことはこれなんだ」と気づくのです。

「風土」を放置すれば目標達成もなおざりになる

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ベーシックマナーは新人研修のマニュアルで最初に教わる事柄ですから、入社1年目の整備士でも、全員が「知って」います。

しかし、人は易きに流れるもの。誰も見ていなかったり、周りの人もやっていないとわかると、たちまちチーム全体が基本の徹底をやめてしまいます。近くにお手本となる中堅社員がいなければ、なおさらです。整備士の宮崎は、危機感を込めて言います。

「『基本』ができているかは、その会社の根幹にかかわることです。ANAではこれを『安全文化』と呼んで、大切にしています。コーチングチームが若手から煙たがられようとも、口うるさくベーシックマナーを教え込むのは、この文化を守るためです。『組織風土』とよく言いますよね。風土は自然に出来上がるものですが、一方で、ほったらかしにしておけば、どんどん衰退して、悪しき風土になってしまう。だから私たちは、あえて『文化』と呼んで、人間の手でつくり上げよう、と考えているのです」

チームの習慣は、悪いものほど早く、全体に伝染します。あなたの職場でも、たとえば課長が毎回3分会議に遅刻をすれば、そのチームの全員が3分遅刻するようになるでしょう。中堅社員があいさつをしなければ、後輩も「しなくていいんだ」と思います。こうした状況を変えたいなら、最初にすべきことは、「基本」を徹底することなのです。

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