アニメーター、「平均年収332万円」という現実 ヒット映画連発でも現場は恵まれていない

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数年前まではテレビドラマの劇場版や、テレビ局が製作する作品が興収の上位に名を連ねていた。が、今や映画会社主導の作品が観客のニーズをとらえ、「映画館に行かないと見られない」作品が増えていることもあるだろう。

もう一つ特徴的なのはアニメの比重が高まっていることだ。興収トップ10のうちアニメ作品は実に7本に達する。邦画優位が続いている中、ディズニーの「ズートピア」や「ファインディング・ドリー」などアニメ作品では洋画の人気も高い。

監督業では食えない

活況に沸く映画業界だが、もろ手を挙げて喜んでいられない状況もある。

「われわれクラスの監督でも公開作品だけで食べていけるのはほんの一握りだ」。「半落ち」や「ツレがうつになりまして。」などの代表作を持つ佐々部清監督は「大学や映画学校の講師の収入で生活している人は多い」と語る。

そもそも、映画業界のおカネの流れは、映画の作り手に届きにくい仕組みになっている。まず、興収の半分は劇場側の取り分となり、残りの半分からプリント費や宣伝費などの必要経費が控除される。その残りから配給手数料や制作費、出資者の取り分が配分される。見込みの興収から逆算して予算を立てるため、興収10億円規模の作品でも映画制作に回る金額は2億~3億円程度になる。

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