楽天、トラベル社長交代は吸収合併の布石 ライバルはグローバル旅行サイト?

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楽天の前2012年12月期は、インターネットサービスのセグメント利益586億円のうち、楽天トラベルが108億円を稼ぎ出した。楽天トラベルはもともと、日立造船系の予約サイト「ホテルの窓口」が主な母体で、当時はビジネスホテル中心にサラリーマン層の利用が多かった。01年にサービス開始した旧楽天トラベルと03年に統合、国内に加え海外6万軒の契約施設を抱える。

施設とユーザーの情報、両方充実が強み

逆に、楽天トラベルの場合、コンテンツの意味ではすごい。施設さんが入れてくれた本当にお勧めの情報などは、カスタマイズの必要がない。スピードが速くて、よい機能をこちらで提供し、契約施設や観光協会が、彼らしか知らない情報を加えることで、スピード感とカスタマイズを両立するのが楽天トラベルのユニークさ。豊富な情報によって売りやすくなる仕組みができあがっているサービスは、グローバルで見ても例がない。

――今回の社長人事に絡んで、三木谷(浩史・楽天会長兼社長)さんとはどんな話を。

これまでの成功を生かして、国内施設との関係や営業面での資産を活用しながら、スピードアップしてくれというメッセージを聞いている。今回の人事の意思決定の速さには正直驚いたし、このスピード感は、私がプロダクトを変えてきたスピード感以上に早いなと。

今まで以上にトライアルして、それが正しいのかどうかを測る仕組みだけ作っておいて、違ったものはすぐ修正しながら、かつ失敗を気にしないカルチャーをより明確にしていく。外から入ってきたから見えるが、当社には社員が理解しきれていない強みがある。それを10%伸ばせば、お客さんに10%余計に喜んでいただける。

――社員の気づいていない強みとは何か。

いくらでもあると思う。まず、楽天グループの会員基盤を持っていて、リピーターの数がすごいこと。また、国内の宿泊施設の口コミ情報が多いこと(670万件)。その口コミ情報の文章も長く、クオリティ・量ともに国内最大級だと思っている。にもかかわらず、施設やオーナー側のメッセージも充実している。利用者が気づきにくいメリットをオーナー、施設から情報として入れてもらってこそ、サイトが生きる。

「今度こういうプランを始めました」とか、「近所にこういう施設ができたから、そこにも行ってみてください」のような情報と、「行ってよかったです」という口コミ。利用者側、施設側、両方からの情報が随時アップデートされているサイトは、世界でも本当に例を見ない。

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