楽天、トラベル社長交代は吸収合併の布石 ライバルはグローバル旅行サイト?

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楽天は6月27日、100%子会社、楽天トラベルの社長交代を発表した。前身の一つである「旅の窓口」を運営していたマイトリップ・ネット(楽天が2003年に買収し、旧楽天トラベルと統合)出身の岡武公士(おかたけ・まさし)前社長は顧問に就任。同時に、楽天が楽天トラベルを吸収合併することを検討中であることを明らかにした。ネット旅行予約最大手である楽天トラベルは今後、どこへ向かうのか。山本考伸(やまもと・たかのぶ)新社長(写真)に聞いた。

人事面でも対ユーザーでも、一体経営が有利

――なぜ今、楽天トラベルと楽天の完全統合を検討するのですか?

もともと別の会社(マイトリップ・ネット)を楽天側に併合することによって「楽天トラベル」というブランドでやってきたが、会員組織としては楽天スーパーポイントを提供していて共通。ポイントの連携に加えて、たとえば「この旅館に泊まった人にこういう本をオススメしよう」などの相互プロモーションもやっていったほうが、ユーザーの利便性が高まっていくと思う。旅館をお勧めする場合も、楽天のコンシューマー向けECサイト「楽天市場」でも紹介するし、それがメルマガにも波及する。グループシナジーの追求が眼目にある。

人材交流も同様。すでに新卒採用はグループで一括しているが、1社に統合されれば、他のビジネスユニット(事業部)の成功事例を楽天トラベルの事業部で積極的に生かしていけるし、逆のパターンもある。グループとしての一体経営を、組織上もクリアにしてシナジー、メリットをより享受できる体制にしようというメッセージだ。

統合によって何かできなくなることがあるとか、そうしなければできないことがあった、という後ろ向きな理由ではない。ユーザーから見ても、よりわかりやくなる。

山本新社長は1975年生まれ。京都大学工学部出身で、NTTドコモからキャリアをスタート。スタンフォード大学でMBA(経営学修士)を修了した後、旅行予約で世界首位のエクスペディアへ入社した。そして、同社の100%子会社(当時)だった世界最大の旅行関連の口コミサイト、トリップアドバイザーへ異動し、プロダクト(制作)とマーケティング(営業)の責任者としてアジア展開や日本展開を行った。今年3月、楽天入社と同時に、楽天トラベル常務執行役員に就任。6月から楽天トラベルの代表取締役社長を務める。

社長含みの楽天入社ではなかった

――山本新社長は今年3月に楽天トラベル常務としてトリップアドバイザーから転身した(同時に楽天にも入社)。社長含みだったのか。

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