「社会に適合できない」18歳が風俗を選ぶ必然

生涯の職業とすることは難しいが…

「ママからその話を聞いたとき、びっくりしました。確かに夜になってからお仕事に出ることもあったけど、飲食店か何かで働いているんだとばかり思っていたので。でも、私に風俗の仕事を勧めてくれたお友達は、お母さんが現役でデリヘル嬢をしているんですよ。それでその子も同じお店で働き始めたから、そんなものかなって」

マキホさんは、年齢以上に幼く見える。白い肌に黒目がちな瞳、まゆの上で切りそろえられた前髪といった外見もそうだが、まだ社会というものをほとんど知らない無防備さがその印象に拍車をかける。18歳と2カ月、まだまだ子ども。彼女の母も「だからこそ、働き始める前に打ち明けてくれてよかった」と言う。

「意外と頑固な子なので、デリヘルをすること自体は反対しませんでした。私自身もやっていたことだし、ダメとも言えない。でも、どうせやるなら私の目の届く範囲内で働いてくれれば、親として安心できます。こうしたお店の中には男性スタッフがキャストに手を出すところも少なくありませんから。ウチのグループは店長は全員、スタッフも大半が女性なので、安心して預けることができます」

代表の長谷川さんも、こう話す。

「これまでにも母娘で在籍した例はあります。母親は熟女店に、娘は若い女の子が多いお店に。お互いがデリヘルをやっていることを隠したまま、実は姉妹店で働いている――ということもありました。多いとは言えませんが、ものすごいレアなケースとも言えなくなっているのかもしれませんね。母親の紹介でドライバーとして働き始めた男性もいますよ」

学校でもバイトでもうつむいてばかりだった

カサブランカの店内。メークルームも広々としている(筆者撮影)

当のマキホさんは現在、水を得た魚のように働いている。母親や、母のことをよく知るスタッフがつねに自分を見てくれているという安心感が、彼女をのびのびさせている。

「今、すごく楽しいです! 学校でもこれまでのバイトでも、うつむいてばかりだったので……」

マキホさんは終始、ゆっくり話す。思っていることを言葉にするのに時間がかかるようだった。そして発言した後にも、自分の言葉が正しかったかどうかを考え込む。

中学のときまでは、マイペースなままでも教室で浮くことはなかった。けれど高校に行ってからは途端に、クラスメートたちと話しづらくなった。自分の居場所をどこにも見つけられず、そのまま退学。両親から「学校の勉強をしないなら、仕事をするということを勉強しなさい」と言われたので、飲食店やスーパーなどで働き始め、多いときで1日に3つのバイトを掛け持ちした。

時給は750~800円、月収は多いときで約12万円。実家暮らしなので生活に困ることはない。問題は、職場での人間関係だった。うまく人と話せず、勤務中はずっと下を向いていた。退勤時間になると、一目散に家路についた。

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