日本は世界第2位の「政府の隠れ資産」大国だ 活用次第で「債務削減+経済成長」が可能に
NWFは今日の政治家の利益を確保するための組織ではなく、納税者である国民に対して説明責任を持つ。あらゆるオペレーショナルアセットの開発に取り組み、将来売却する可能性を視野に入れて、資産価値の向上に積極的にかかわることを使命とする。
シンガポールやスウェーデンの成功例に学べ
具体的には土地開発の許可を受け、非効率的な商業資産の合理化を進め、基本的なインフラを改善しながら、売却するまでに土地の価値を高める。そうすれば、資産を慌ててたたき売る必要もなくなるだろう。納税者である国民の資産を適切に管理して、価値の最大化を図ることに専念すればよい。たとえ政府が長期にわたって所有し続ける資産でも、正しく運用すれば納税者にとって手堅い収入源になることは可能だ。
このような取り組みは困難な印象を受けるかもしれないが、実際にはシンガポールのテマセクや1990年代のスウェーデンで大きな成功を収めている。そして香港やヨーロッパの都市、ロンドンやコペンハーゲンやハンブルクでも成果を上げている。
日本では「失われた10年」から10年以上が経過したにもかかわらず、国の借金と財政赤字の規模は膨れ上がったままで、低成長に苦しんでいる。このように政府は大きな債務を抱えているが、人口問題が財政的な制約に追い打ちをかけている。
一方、これまで世界貿易発展の牽引役を務めてきた新興国に、もはやその役割は期待できない。これからの日本経済はインフラなどへの投資に本気で取り組むべきだ。
実際、気候変動、貧困と移民、デジタル革命、高齢化社会など、投資の機会には事欠かず、いずれにおいてもインフラの改善が喫緊の課題になっている。厳しい天候に耐え、成長や生産性を育み、デジタルディバイドを解消し、高齢者にやさしい社会づくりを目指さなければいけない。本書は、日本に真の機会を提供する一冊になるだろう。
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